https://biz-journal.jp/2019/12/post_134471.html
 なぜこんな馬鹿げたことがまかり通るのだろうか。第200臨時国会が12月9日に閉幕したが、もともと今国会が召集される前には、野党は「次は関電国会だ!」と息巻いていたはずである。実際、関西電力にまつわる金品受領問題は、国の電力政策の根幹、特に原子力発電にかかわり得るものだけに、深く追及するに値する可能性はあった。

 それだけではない。国民民主党の森裕子議員が「自分の国会質問が漏洩した」と主張して追及チームまでつくったり、萩生田光一文部科学大臣の「身の丈発言」を追及しようとするなど、あたかも法案審議を度外視するかのごとく、政権への対決姿勢ばかり強めていた。

 そんななか、11月8日の共産党・田村智子議員の参院予算委員会での質問をきっかけに、「桜を見る会」一色になって、召集前に挙がっていた争点はどこかに飛んでしまった。

 田村議員の質問には、ポイントが2つあった。ひとつは、これまでの桜を見る会より規模が大きくなっており、税金が無駄に使われたのではないかという点。もうひとつは、桜を見る会が安倍晋三首相の後援会をもてなすために使われたのではないかという点である。公の目的で開催するべき桜を見る会を、首相が私物化したのではないかというわけだ。

 この質問は、政治資金規正法などに引っかかる可能性を浮かび上がらせて、政権を動揺させるクリーンヒットとなった。あとからわかったのだが、共産党の機関紙「赤旗」がこの問題を追っており、共産党側でこの問題が安倍首相自身の責任を問い、安倍政権を揺さぶれると判断していた。一方、政権側はこれまでの恒例行事だからと甘く見ていた節がある。

 この桜を見る会問題において注視すべき点は、ほかの野党が節操なく飛びついたことだ。

(略)

税金を無駄にしているのは野党

 今国会は「桜を見る会疑惑」一色で終わってしまった感がある。“5700万円がかけられた桜を見る会を追及するためにかかった税金”を推測で概算してみる。国会運営に1日当たり3億円かかっていると考えると、67日間の国会開催中に費やされた税金は3億円×67日=201億円、なかには1日当たり3億5000万円かかるという試算もあるので、その場合、3.5億円×67日=234億5000万円になる。

 もちろん、このすべてが桜を見る会問題の追及にかかったわけではない。だが、ほとんどの法案が大して審議されることもなく通ってしまい、この問題だけがあたかも天下国家の大問題のように拡大して審議され、報道されたわけで、今国会のかなりの時間が野党のパフォーマンスのために費やされたといえる。

 もちろん、桜を見る会には問題点があり、審議して改善すべき点はいくつもある。ただ、野党がそれを過大に取り上げて「首相の責任」と連呼し、できれば政権を崩壊させたいといった下心が透けて見えていたので、愉快ではなかった。問題点は宮本・初鹿両議員が明らかにしていたのだから、あとはこの問題をきちんと追及してきた田村議員など共産党にまかせれば十分ではなかったのか。ほかの野党は、共産党に乗っかるだけで国民の支持が得られるはずはない。

 野党はできればたくさんの「専門家」をつくって、半分の法案に自分たちの意見も反映されるくらい多くの法案にコミットしてほしい。今のままでは「ほとんどは賛成して通し、見せ場だけつくってもらう」という、これまでどおりのパフォーマンス国会が続くだけである。かつてはそれでよかったのかもしれないが、もうすでに多くの国民が野党の浅はかさを見破っている。

 あまり考えたくないが、もし野党が憲法改正議論を先送りするためだけに一連の疑惑追及のパフォーマンスを行ったのであれば、憲法も認めている「改正する権利」をないがしろにしたという意味で、憲法と国民を愚弄する行為ではないのか。