【北方領土「日本固有」となぜ言えないのか】

毎年2月7日には、北方領土の返還を求める全国大会が催される。今年は、重大な変化が起きた。同大会を主催する官民団体が採択する大会アピールから、なんと「北方四島が不法に占拠されている」という事実を述べた文章が削除されたのである。
同大会で最重要の安倍首相のスピーチにも「日本固有の領土」という言葉がなかった。
 これは現在進行中の日露平和条約交渉に対する影響を考慮しての決断と推測される。もしそうだとしたら、しかしながら、とんでもない思い違いである。逆効果だろう。
それは、ロシア側に向かって誤解を招く誤ったメッセージを送るばかりか、日本側にとっても致命的な外交行為にさえなりかねない。

北方四島がロシアによって不法に占拠されている。これは、誰一人否定しがたい客観的事実に他ならない。にもかかわらず、その言葉を北方領土返還全国大会のスローガンから外した。
これは「第2次大戦の結果として四島がロシアの主権下に移った」とのロシア側の主張を認めるに等しいだろう。

2019/02/07
https://ironna.jp/article/11868