千葉県の森田健作知事(69)が7日、県庁で定例会見を行い、9月の台風15号で県の災害対策本部が設置された当日に同県芝山町にある「別荘」を公用車で訪れていた疑惑があるとする「週刊文春」の報道について釈明した。

 森田氏は「別荘ではなく自宅だ」とし、公用車で到着した後に私用車に乗り換えたと説明。「私は公私がはっきりしている」と強調した上で「プライベートで(被害状況を)視察しようと考えた」と主張した。

 驚くべきは、森田氏が説明した「プライベート視察」の内容。降車することはなく「車の中から見て回った」とし、メモや写真などの記録も取らず「頭に残した」と話した。被害状況の調査や住民の声を聞くこともしなかった。「パーッとスルーしていこうかなという感じ」と述べた。

 2011年の東日本大震災の際、液状化現象が起きた浦安市を“私的視察”したといい「その後の政策に役立った」と強調。「これは私の政治スタイル」と開き直った。

 森田氏によると今回の“私的視察”は運転手とSPの3人で実施。芝山町に隣接する「富里市から酒々井町」を「30〜40分ほど回った」という。この一帯を訪れた理由を、甚大な被害が出た県南部は各市町村が対応に追われていたため、比較的被害が少なく県庁から近い場所を選んだとした。だが詳しい場所については「特定の場所はなかった」とはぐらかした。

 7日発売の週刊文春は、公用車の運行記録や地元住民らの話から「公用車で別荘を見に行った可能性が極めて高い」などと報じ、富里市の全市議が森田氏の視察を知らなかったとしている。

 台風15号は9月9日未明に千葉県を直撃。県などによると、翌10日午前、県は災害対策本部を設置したが、森田氏は午後“視察”に向かった。会見では「県庁で陣頭指揮を執るべきでは」との質問も飛び、森田氏は「県庁で対策会議をやり、副知事もいる」と自身が不在でも問題ないとした。

 度重なる災害に苦しむ県民にとって森田氏の説明は疑惑を晴らしたとは言いがたい。今後、不満や非難の声が広がっていきそうだ。

 《これまでは「自宅行かず」》県秘書課は、これまでスポニチ本紙などの取材に「知事は東関東自動車道・酒々井インターチェンジを降りた後、車を乗り換えた。その後、視察をした。自宅には行っていない」としていたが、この日になって訂正。芝山町の自宅で車を乗り換えたとした。担当者は「普段はコンビニで乗り換えると聞いていて、今回もそうだと勝手に推察して答えた」と話した。また9月10日の公用車の日報で、目的地が芝山町でなく千葉市内と記載されていたことが公文書偽造ではないかとの指摘について「確認不足だった」と謝罪した。

 ▼「週刊文春」の報道 台風15号が千葉県を直撃した翌日の9月10日午後、森田知事が県庁を出て、公用車やETCの記録から不可解な動きがあったと指摘。走行距離から、芝山町の「別荘」に向かった疑惑があるとした。県の秘書課は、森田知事は富里市方面を視察したと説明。ただ、富里市議全員が視察を知らなかった。芝山町では「知事が来ていたという話になっていた」と町議が話した。

スポニチ
11/8(金) 5:30配信
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