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[大弦小弦]万歳三唱、国民主権と象徴天皇制に矛盾

戦前にタイムスリップしたかのようだった。6年前、主権回復の日の政府式典を取材し、そう思った。
壇上の安倍晋三首相ら三権の長が天皇皇后両陛下を向いて両手を挙げ、声を合わせた万歳三唱。
出席者ら約400人が一斉に万歳する光景は衝撃だった

▼新しい天皇陛下が内外に即位を宣言する「即位礼正殿の儀」の映像を見て、改めて思った。
首相の音頭で参列者が万歳三唱し、陸上自衛隊の礼砲が響いた。
祝賀ムード一色の報道は、違和感に拍車を掛けた

▼陛下が立ったのは、屋根までの高さが6メートルを超え、天孫降臨神話に由来する玉座だった。
首相が陛下を見上げて万歳三唱する儀式には、国民主権や象徴天皇制との矛盾を感じた

▼先の大戦では「天皇陛下万歳」と叫びながら多くの人が死んだ。
サイパンでは、追い詰められた日本兵や県出身者など多くの民間人が投降を拒んで自決した。海へ身を投げた崖は「バンザイクリフ」と呼ばれている

▼皇民化教育や沖縄戦の記憶が根強く残る沖縄では、戦後74年を経ても消えない苦しみや悲しみを抱え、このフレーズに不安を感じる人たちがいる

▼天皇は国民の上位に存在しない。
前例踏襲ではなく、国民主権を理念にした新時代にふさわしい象徴像について、皇室のあり方など、現憲法を順守しながら見直すべきことは多いはずだ。(吉川毅)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/488420



(略)