橋下徹元大阪市長の発言が物議 身近に潜む“差別治水”の闇

 13日夜の情報番組「Mr.サンデー」に出演した橋下徹元大阪市長の発言が物議を醸している。橋下氏は台風19号の豪雨による河川の氾濫被害をVTRで見た後、「都市化されている下流地域に被害が出ないように、上流部であえて氾濫させる考え方がある」――と治水行政の“闇”を暴露したのだ。

 ◇  ◇  ◇

 橋下氏は番組内で、治水行政の具体例として「淀川が氾濫しないように琵琶湖で止め氾濫させる」「奈良と大阪の県境に狭いところ(大和川の亀の瀬)があるけど、いざというときは奈良県側で氾濫させる」――と解説。ラグビー日本代表がW杯のスコットランド戦で収めた“歴史的勝利”に日本中が歓喜する中、その直後に放送された橋下氏の「氾濫」発言は視聴者にかなりの衝撃を与えたようだ。

 実際、ネット上には<大阪府民の為に奈良県民は死んでもいいって事?><そんな方法しかないの??><日本の闇>などの疑問や驚きの声が続出。「橋下発言」をファクトチェックするため、国交省近畿地方整備局に問い合わせてみた。

「豪雨や台風などで雨量が多い時は、下流の淀川に大量の水が流入しないように琵琶湖出口の瀬田川洗堰を全閉することがあります。ただし、淀川の氾濫を防ぐために琵琶湖を氾濫させるということではありません」(淀川河川事務所)

「そもそも、大阪を守るために奈良県側の大和川上流を氾濫させるような“技”は使えません。大阪と奈良の県境に位置する大和川の亀の瀬は、古くから地すべりが起きる場所です。昭和40年代から治水対策を進めてきましたが、現在は対策を早めるために、亀の瀬を広げなくて済む別の整備計画を進めています」(大和川河川事務所)

2につづく

日刊ゲンダイ
19/10/17 15:00
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/263416/