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<日韓関係の緊張と悪化が続くからこそ客観的な情報を入手して理解しようとする動きが>

韓国と日本の緊張状態が収まる気配はなく、双方の国民も過剰なほどに反応している。韓国でいえば、日本製品のボイコット運動が全国に広がっている。

しかし意外な動きも生じている。多くの韓国人が日本製品を買わないという一方で、少なからぬ韓国人が本気で日本について勉強しているのだ。

最近、韓国で日本関連の書籍の売れ行きが急速に伸びている。特に人気は『反日種族主義』( 李栄薫[イ・ヨンフン] ほか)と題する本だ。内容は3部構成で、日本の朝鮮半島統治に関する韓国社会の通念や理解を鋭く批判している。

この夏、この本は韓国内の主要書店で飛ぶように売れたという。最大手のバンディ&ルニーズでは全国13の支店で、7週間にわたってベストセラー第1位の座を維持した。

どんな内容か。まず第1部では、日本が植民地時代の韓国で米作や土地、労働力を搾取したという通説に反論する。第2部では、なぜ韓国で反日感情が広がったかを説明する。そして第3部で、いわゆる慰安婦問題を論じている。

これ以外にも安倍晋三首相に関する本や日本の歴史・経済・政治・文化を扱った書籍の多くが、ここへきてよく売れているようだ。ネット上でも日本に関する動画やポッドキャストが人気を集めている。

韓国の歴史家が『反日種族主義』に反論した動画シリーズもあり、こちらは10日ほどで50万回以上再生された。YouTubeや韓国の大手ポータルサイト「ネイバー」などのSNSでも、韓国人の手による日本の歴史・政治・社会の解説動画がよく見受けられる。

客観的な知識が欲しい

こうした傾向の背景にあるのは、より広い文脈で日本との関係を理解したいという韓国民の思いだろう。両国間の難しい関係は今に始まったことではないが、このところの非難の応酬で深刻さを増している。

日本は8月に、軍事転用も可能な物品の輸出手続きを容易にする「ホワイト国」リストから韓国を除外すると決めた。これで両国間の緊張は高まった。日本政府は7月初めにも、半導体やスマホ画面の製造に欠かせない素材3品目の対韓輸出管理を強化しており、ますます緊張が高まっていた。

日本政府の対応がこれほど強硬になったのは、韓国側の司法判断のせいだというのが大方の見方だ。植民地時代の機微に触れる徴用工問題をめぐって、韓国の裁判所が日本企業に元徴用工への補償を命じた。

問題は複雑を極め、十分に理解するためには詳細な背景知識が必要になる。だが客観的に知ることができるよう、人々のために世の中で道筋がつけられているわけではない。どちらの国でも一部の政治家は、問題解決より票集めが目当てで現状を利用することに熱心だ。

例えば韓国の政権与党「共に民主党」系のシンクタンクは、日本との膠着状態が次回選挙で党に有利に働くと示唆している。韓国メディアによる報道の偏りが批判されるのも新しいことではない。

まさにこのような環境が動機となって、多くの韓国人が日本について自ら学び、政治家やメディアの影響を受けないところで情勢に関する理解を深めようとしているのかもしれない。

つまるところ、国民の暮らしに直接影響する膠着状態は韓国経済にとって好ましくない。そしてそれだけ重要なことだから、問題点をきちんと理解したいと思う。それは当然のことだ。

<本誌2019年10月15日号掲載>

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/10/post-13149.php
Newsweek 2019年10月9日(水)19時00分

https://i.imgur.com/ZTKyt9g.jpg
市井の韓国人は広い文脈で日本との関係を知ろうとしている(写真はイメージ)

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