韓国が日本とのGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄を通告したことについて、安倍シンパやネトウヨは「困るのは韓国自身」「自分で自分の首を絞めている」などと強がっていたが、どうやら慌てているのは日本も同じのようだ。

 北朝鮮が5月以降、繰り返している短距離の新型ミサイル発射に対し、日本政府が複数回、発射後の軌道を探知できていなかった――と共同通信が報じたのだ。

 共同が複数の(政府)関係者の話として報じたところによると、北が5〜9月にかけて計10日間にわたって発射した新型ミサイルは、ほとんどが通常よりも低い高度60キロ以下で飛行。このため、日本海で警備にあたる海上自衛隊のイージス艦や航空自衛隊のレーダーで探知できないケースが複数回あり、その中には日本に届く可能性がある新型ミサイル「KN23」が含まれていたという。

 発射地点が近い韓国は探知に成功していたといい、GSOMIA破棄が日本の安全保障に影響を及ぼす可能性が現実味を帯びてきたと言っていい。

 安倍政権は昨年、北がミサイルを撃つたびに「国難」と大騒ぎし、Jアラート(全国瞬時警報システム)を鳴らしていたが、今年は北がミサイルを幾度となく発射しても静観したまま。安倍首相に至っては山梨の別荘でノンビリとゴルフに興じる場面もあった。てっきり、ICBM(大陸間弾道ミサイル)以外は北のミサイル開発をスルーしているトランプ米大統領の顔色をうかがっているとばかり思っていたが、それだけじゃなく、軌道を探知できなかったというのだから、これぞ「国難」だろう。


 しかも、低高度ミサイルは従来のミサイル防衛システムが通用しない。それなのに安倍政権は米国に言われるがまま、1基数千億円といわれる地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」を配備するつもりだ。

 軌道を探知できず、迎撃もままならないポンコツ品になぜ、莫大な血税を使う必要があるのか。それよりも日韓関係改善のためにカネを使う方がよっぽど国民のためになるだろう。日韓がグダグダしている間に北がミサイル技術開発を進めるのは間違いない。軍事ジャーナリストの世良光弘氏はこう言う。

「北朝鮮は今後、潜水艦から新型弾道弾を撃つなど、発射実験を繰り返す可能性があります。万全の防衛態勢を取るためにも日韓は関係改善に動いた方がいいでしょう」

 韓国に拳を振り上げて喜んでいるのは安倍シンパだけ。マトモな国民ほど大迷惑だ。

日刊ゲンダイ
19/09/25 06:00
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