https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201909/20190915_71009.html
 旧民主党政権の発足から16日で10年となる。2009年8月末の衆院選で自民党に圧勝し政権が交代。鳩山、菅、野田と3代の内閣が続いたが、消費税増税や東日本大震災への対応を巡る迷走が響き、3年3カ月で政権から陥落した。所属していた東北の国会議員4人にキーワードを基に成果や教訓を語ってもらった。(東京支社・吉江圭介)

【リーマン 震災 消費税】/安住淳氏

 野田政権で財務相を務めた安住淳氏(衆院宮城5区、無所属)は「超ど級の国家的危機に3度続けて直面した」と振り返る。民主政権が不況を招いたとする安倍晋三首相に「批判は当たらない。政権交代直前の麻生政権で税収が極端に落ち込んだ」と反論する。
 在任時、消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案の成立に奔走したが、党は分裂。10年参院選の民主惨敗を踏まえ「政局が安定しない状況での増税チャレンジは無理があった」と省みた。三国志の軍師で知られる「諸葛孔明がいなかった」と未熟だった政権運営を悔やむ。

【東日本大震災】/桜井充氏

 桜井充氏(参院宮城選挙区、国民民主党)は震災時、菅政権で財務副大臣を務め、被災企業のグループ化補助金創設を進めた。「税金は個別企業に投入できないと役人に言われたが、財務省と中小企業庁の垣根を越えられた」と自負をにじませる。
 当時の党を「個人商店主の集まりだった」と思い返す。「商店主の議員が組合をつくったが、目立とうとする人ばかりで、組織としてまともに機能しなかった」と指摘した。

【市民の力】/岡本章子氏

 党仙台市議だった岡本章子氏(衆院比例東北、立憲民主党)は「地方分権の推進により、仙台でも市民活動の担い手が行政運営に参画した」と変化を感じた。「官僚と信頼関係を築けず、互いに疑心暗鬼になったように映った」とも語る。

【脱新自由主義】/舟山康江氏

 鳩山、菅両政権で農水政務官だった舟山康江氏(参院山形選挙区、無所属)は、農家への戸別所得補償制度導入を挙げ「大規模偏重の施策から現場に軸足を置いた政策にかじを切れた」と成果を強調する。
 転機と捉えるのは10年10月の菅直人首相による環太平洋連携協定(TPP)の参加検討表明。舟山氏はTPP推進の党方針に反発し、12年7月に党を離れた。「農政をはじめ、党の基軸のずれを感じた」と当時のかじ取りを批判した。