抗議をした支援団体は、「自分達が存在もしていないかのような無神経な質問に憤りを感じ、動かずには居られなかった」としている。

鹿児島市議会で9月11日に開かれた本会議で、「自民みらい」会派の代表質疑に立った上田勇作議員が、市役所がLGBT施策に「慎重であるよう」求める趣旨の質問をした。

この質問は事前に市議会公式サイトに公開されており、LGBTの支援団体が「当事者を傷つける内容が多数含まれている」として、質疑の取り下げを要請していたものだ。

上田市議は本会議で、「LGBTと言われる方々への不当な差別に対して、これを解消するための努力は必要」とした上で、「LGBTについては、横文字であるがために国民の間でも物事の本質に十分な理解の無いまま、なし崩し的に行政によって施策展開が行われる状況にあるように思われることも危惧します」と発言。

「LGBT施策等については、市当局として、慎重の上にも慎重な立場で施策を検討していただき(たい)」と述べた。

■ LGBT「突出して差別を受けているわけではない」

上田議員は、鹿児島県の人権ハンドブックに「日本でも約8%の人がLGBTと考えられます」と書かれていることについて「驚くような記述」と発言し、「世論が分かれるデリケートな問題で数字の独り歩きを防ぐことが必要」ではないかと質問した。

さらに「性的少数者が採用選考で差別やハラスメントを受けたと答えた割合は8%で職場では6.5%」という東京都港区の調査結果を引用して、LGBTへの差別問題を、女性が受けるセクハラ問題と比較。

「女性のセクハラ経験率は3割以上に上っており、性的少数者であるがために突出して差別を受けているわけではないと言えます」と展開した。

さらに、教育にからんだ質問の中でも、「『性的指向、性的自認は生まれつきのものであって、変えられない』という考えもあるようですが、それは事実なのか。先天的ではなく、社会的、文化的な影響からも生じていると考えるが、いかがか」と発言した。

「神の与えたもうた自然な摂理にあった男女の性の考えを強調するなど、市民が納得するバランスの取れた性教育を行うべき」などと続けた。

■ 同性パートナー制度は「ニーズがほとんどない」

また上田議員は、全国に広がっているパートナーシップ制度についても疑問を呈した。

パートナーシップ制度は、自治体がLGBT当事者のカップルを正式なパートナーと認める制度だ。

2015年に東京都渋谷区と世田谷区でスタートし、これまでに全国20以上の自治体に広がっている。九州でも福岡市や熊本市、宮崎市、長崎市などが導入している。

しかし上田議員は、「同性パートナー制度」はニーズが「ほとんどないと言えるのではないか」とし、同制度を要求しているのは、当事者の一部にすぎないことが「明らかになっている」と主張。

「同性パートナー制度が進んでいるから、国で同性婚を認めるべきだという流れにくみすることは当局として慎まなければなりません」とも述べた。

■支援者団体の要請に「言論の府を冒涜する行為」

今回の上田議員による「自民みらい」会派の代表質問の内容は事前に市側に通告されており、市議会公式サイトで公開されていた。

この質問内容を見た鹿児島県で活動するLGBTの支援団体「レインボーポート向日葵(ひまわり)」が、「当事者を傷つける内容が多数含まれている」などとして、9日付で市議会議長に対して、取り下げを求める要請書を提出していた。

この動きに対し、上田議員は11日のLGBTに関する質問の冒頭で「この質問を取り下げるよう、議長に要請文書が出されたようです。思想信条の自由を踏みにじり、言論の府を冒涜する行為に対し強く抗議します」と語った。

「申し上げておきますが、多様性や寛容を求める人々が、異なる意見に非寛容な態度を取ることは、厳にいさめなければなりません」

2につづく

HUFFPOST
2019年09月11日 18時28分
https://www.huffingtonpost.jp/entry/lgbt-kagoshima_jp_5d785a01e4b09342507b4bff