武道通信8月11日

かつて兵頭は都内の大塚に住んでいたことがある。そこから歩いていけると ころ、
サンシャインビルのすぐ隣りなのだが、硬貨および七宝焼きの文化勲章などを製造
している管理厳重な大蔵省の工場があった。その一角の展示室は(警備厳重で
近寄り難い雰囲気なのだが)公開されている。兵頭がちょうどそこを訪ねてみた時期は、
自販機で500ウォンと識別ができるようにした、金色系の新しい500円玉が創られて間もなかった。

そこで兵頭は案内係の職員に訪ねてみた。「例の500円詐欺騒ぎですが、そもそも
どうして韓国に、日本の硬貨と自販機で識別できぬほどマルパクな500ウォン硬貨などを
作らせてしまったんですか。近々、わが国でこういう硬貨を つくりますから、皆様は似たような
硬貨は作らぬようにしてください、という事前の対外通牒をしておきさえしたら、ここ数年の
自販機被害や経済混乱や税金の無駄は予防できたのではありませんか?」

すると案内員は怒りを蔵した表情で教えてくれた。「いや、通牒はしたんで す。慣例として
各国ともにそのような通牒をすることになっています。とうぜん日本もしました。ところが韓国は、
その通牒を受け取るや、すぐに日本の500円硬貨にそっくりな500ウォン硬貨を作ることを、
政府が命令したんです。それが、サイズ、重さ、材質まで、こちらが通牒したものと同じなんですから」

「えっ、それじゃ韓国政府の意図的な業務妨害じゃないですか。
一体なんで彼らはそんな不埒なマネをやるのです」
「要は、日本にあるものは、彼らも持ちたいのでしょう。そっくり同じものを」

兵頭はこれを聞いてとても驚いた。そのような話は大手マスコミでは少しも報じられていなかったのである。
しかし大蔵省内部では末端の職員まで知っている。知っていて声を大にして叫べないらしい。
ならばこの話はどこかに書かねばならんと思い、事実部分だけを『voice』の記事の中で紹介した
(巻号および記事タイトルは忘却)。