参院選で改選されるのは2013年に当選した議員たちだ。その歩みは再登板した安倍晋三首相の政権6年半とほぼ重なる。13年参院選では自民党が大勝し衆参ねじれが解消、国会は政権の意向がそのまま反映される「一強国会」へ歩み始めた。与野党の圧倒的な議席差のもと、国会は何を得て、何を失ったのか。

 委員会での法案の反対討論の目安は3分。だがその演説は30分に迫っていた。

 「ルールを守れ!」。昨年6月の参院内閣委。与党議員の声を無視して、山本太郎氏は環太平洋経済連携協定(TPP11)関連法への反対討論を続けた。

 山本氏は当時、自由党共同代表。「一人牛歩」「焼香パフォーマンス」といった議場の行動で「トリックスター」の異名を取る。しびれを切らした与党議員が「討論終局の動議を提出する」と言い出した。

 「ダメだ」。立憲民主党の白真勲氏は動議の提出を制しつつ「選挙に勝つしかないんだよ」と山本氏に演説をやめるよう諭した。動議が可決されれば、多数派が野党の発言を強制的に終わらせる前例となるからだ。

 山本氏はうつむいて「確かにそうですね」とつぶやき、演説を終えた。関連法は与党などの賛成多数で委員会可決、本会議でも可決され、成立した。

■強引な議事進行、日常に

 憲法は国会を「国権の最高機関」「国の唯一の立法機関」と定める。最後は多数決になるため、選挙で勝った多数派が主導権を握るが、議論によって法律の必要性や問題点を明らかにし、必要なら法案を修正したり、撤回させたりするのが国会の大切な機能だ。

 少数政党の主張が尊重される理由はそこにある。国民の支持があれば、法案に反対するための審議の引き延ばしなど「議事妨害」はある程度容認されてきた。

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朝日新聞
2019年7月1日23時03分
https://www.asahi.com/articles/ASM6N40W6M6NUTFK00H.html