安倍晋三首相が首相官邸で省庁幹部と面談した際の記録について、菅義偉官房長官は3日の記者会見で、官邸では作成していないと説明した。「政策を所管する省庁が作成する」としているが、災害対応では所管部署にも記録がないケースがあることも判明。政府の政策判断や意思決定について、十分な検証ができなくなる恐れがあり、公文書管理のあり方が問われる。

 菅官房長官は首相の面談記録について、「当該政策を所管する省庁の立場から、説明報告を行う各行政機関において必要に応じて作成・保存される」と強調。政府が2017年に改定した公文書ガイドラインでは、政策決定に影響を与えた面談は記録を残すよう各省庁に義務づけているが、「(ガイドラインに)反しているとは思っていない」と述べた。

 さらに菅氏は、初期の災害対応で首相と内閣官房の幹部が面談したケースについて、「報告も簡潔で、首相からも指示がすでに実施されている。特段方針の修正などがない場合には、議事録は作成していない」と述べた。内閣官房によると、昨年1年間に災害などの対応で内閣危機管理監や官房副長官補らが計39回にわたり首相と面会したが、いずれも面談記録は作っていないという。

 公文書ガイドラインでは、省庁…

朝日新聞
2019年6月3日20時33分
https://www.asahi.com/articles/ASM634J8MM63UTFK006.html