中国政府はアメリカとの貿易摩擦が激しさを増すなか、今後の対抗措置として希少な資源、レアアースの輸出規制の可能性を示唆するコメントを発表し、アメリカをけん制しました。

中国では先週、習近平国家主席がレアアースの関連企業を視察し、「重要な戦略資源だ」と述べたことなどを受けて貿易問題で対立するアメリカへの対抗措置として輸出規制を検討しているのではないかという見方が出ています。

これについて中国政府で経済政策を統括する国家発展改革委員会は28日、コメントを発表しました。この中で中国はレアアースの世界一の生産大国だと強調し、「われわれが輸出したレアアースを利用して製品をつくる一方で、中国の発展を妨げようとするなら中国の人民はみな喜ばないだろう」としてアメリカへの輸出規制の可能性を示唆しました。

中国は過去にも2010年に沖縄県の尖閣諸島沖で起きた中国漁船による衝突事件のあと日本への輸出手続きを事実上、停止したことがあります。

アメリカが中国からの巨額の輸入品に上乗せする関税を引き上げる一方、中国の対抗策が手詰まりになってきているとの見方も出るなか、中国としては新たな対抗策の可能性を示すことでアメリカをけん制するねらいがあるとみられます。

NHKニュース
2019年5月29日 5時06分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190529/amp/k10011933141000.html