■小泉進次郎も旗振り役

 小泉進次郎衆院議員ら自民党の若手も政権と足並みをそろえて援護射撃している。同議員が委員長代行を務める「2020年以降の経済財政構想小委員会」がまとめた「人生100年時代の社会保障へ」(16年10月)を見ると、〈年金受給開始年齢はより柔軟に選択できるようにする〉〈年金保険料はいつまでも納付できるようにする〉〈こうした年金改革を実施することで、高齢者がより長く働くことが当たり前になる〉〈受給開始の標準年齢の引き上げについての議論をただちに開始すべきである〉とある。

 さらに、昨年5月にも同議員が中心となって「人生100年時代を生きる将来世代の未来を見据えて」を発表。〈「高齢者」といった年齢を前提とした定義・名称の在り方も含め、(中略)見直していくことが求められている〉〈定年のない「エイジフリー社会」を構築することが喫緊の課題〉とぶち上げた。高齢者という言葉を“亡き者”にしてまで、年寄りを酷使するつもりである。

「年金制度を維持するためには@支給開始時期を遅らせるA支給額を減らすB年金保険料を引き上げる――の3つしかありません。手品師でもほかに解決策はないだろうといわれてきました。それが着実に進められていくことになります」(政治評論家の有馬晴海氏)

 まずは80歳支給開始を実現し、その後は支給額の引き下げと保険料の引き上げが行われる公算は大きい。

「人生100年時代」は明るい未来を示す言葉ではないのだ。

■高齢者1人を6人で支える?

「高齢社会白書」によると、2017年現在で現役世代(15〜64歳)の2.2人で1人の高齢者を支えているという。このまま行くと、2065年には1.3人で1人を支えることになるそうだ。

 では、年金支給開始年齢が80歳になると、どうなるか。国立社会保障・人口問題研究所の人口推計によると、80歳以上の高齢者は1074万人(2017年9月15日現在)で、総人口の8.5%を占めている。その数は今後も増え続け、2040年には1578万人で全体の14.2%に拡大。7人に1人が80歳以上になると予想されている。それ以外の人で支えると考えれば、1人の高齢者に対して赤ちゃんから79歳までの6人で支えるという計算になる。

終わり