財務省は23日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会で社会保障改革を議論し、公的年金の支給開始年齢について、希望すれば70歳超に繰り下げられるよう制度改革することを求めた。国民年金や厚生年金の基礎部分の受給開始年齢は原則65歳で、現在は70歳までの範囲で遅らせ将来の年金額を増やせる。安倍晋三政権は高齢者の就労を促すため70歳超への繰り下げを可能とする方針を打ち出しており、財務省は今回この方針にのっとった。

 財政審が近くまとめる建議(意見書)に盛り込む。政府は、厚生労働省が今夏をめどに行う5年に1度の「財政検証」を踏まえ、年金制度の見直しを進める予定。財務省は、政府の議論に建議の内容を反映させたい考えだ。

 財務省は分科会に、70歳を超えても働くことを希望する高齢者が4割に上るとのデータを示し、「繰り下げ受給の上限を引き上げるべきだ」とした。昨年4月の分科会では、原則65歳の支給開始年齢を一律68歳とする案を示したが、反発が強く今回は触れなかった。

 就労して一定額以上の賃金をもらっている高齢者の年金を減額・停止する「在職老齢年金制度」の見直し議論にも言及。制度が廃止になれば、減額対象となっている一部の高齢者には利益となるが、将来の給付財源が削られるとし、年金財政への悪影響を踏まえた慎重な議論を求めた。医療費に関しては75歳以上の後期高齢者の窓口負担を原則1割から2割へ引き上げることなども改めて提言した。

産経新聞
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