政府は十九日、新元号選定のため今月一日に開いた有識者懇談会や全閣僚会議などの議事概要を公表した。有識者や閣僚から令和を推す意見が多数出たことを踏まえ、菅義偉官房長官が安倍晋三首相への一任を提案。首相が「新元号を令和としたい」と発言し、了承されたと決定過程を説明した。有識者全員が国書(日本古典)を典拠とする案を推挙したことも明記した。

 議事概要によると、有識者は「日本の文化、伝統に目を向ける一つのきっかけになる」などとして、国書からの案を全員が希望した。中でも万葉集を典拠とする令和は「わが国が持っている素晴らしい洗練された文化を象徴している」「音の響きが良く、子どもでもなじめる」と高評価が相次いだ。

 続く衆参両院の正副議長からの意見聴取では「いずれも良さそうなので、内閣にお任せしてよい」と判断を委ねる意見が多かった。新春の梅を描いた万葉集に由来する令和を念頭に「特定の季節を指すものはどうか」との指摘もあった。

 全閣僚会議でも、発言した閣僚のほとんどが国書からの選定を希望。令和について「人々の思いを集めた万葉集というわが国独自の由来もある」「発音しやすいことも大事だ」などの声が上がった。首相と官房長官以外の発言者名は非公表。

 議事概要を記者団に説明した開出英之内閣官房内閣審議官によると、首相は全閣僚会議で「有識者の意見、閣僚の意見などを踏まえて、国書である万葉集を典拠とする『令和』としたい」と発言した。有識者は九人中八人が令和を推薦。閣僚は計十人が発言し、うち九人が国書、一人が漢籍(中国古典)からの出典を希望した。令和を推したのは四人だった。

東京新聞
2019年4月20日 朝刊
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201904/CK2019042002000141.html