21日に投開票される衆院沖縄3区の補選は、自民党の島尻安伊子元沖縄北方担当相と、野党連合「オール沖縄」が推す屋良朝博氏の一騎打ちの構図だ。

 県知事選、県民投票と2度も辺野古移設「NO」を突き付けられた政府与党は「三度目の正直」とばかり、総力を挙げて島尻支援を訴えているが、そう簡単ではない。

「何としても勝たせよう」。3月下旬、沖縄市の島尻氏の選対事務所で支持者らにこう呼びかけたのは菅官房長官。表情には沖縄でこれ以上の敗北は許されないという危機感がにじんでいた。

 島尻陣営からは「知事選の時よりも手応えを感じる」との声も出ているが、「一枚岩になりきれない複雑な事情も抱えている」(沖縄県政担当記者)という。支援者らの間でささやかれているのは「土下座事件」と呼ばれるものだ。

「3区は比嘉奈津美元衆院議員の地盤ですが、補選で候補に選ばれたのは島尻さん。島尻さんは菅官房長官と近しく、2016年の参院選で議席を失ってからも、沖縄担当相補佐官に抜擢されるなど、党内で重用されてきた。そんな待遇格差に不満を持つ比嘉さんの秘書が、泥酔した勢いで島尻さんの秘書に電話で文句を言ったらしい。この話を聞いた島尻さんはカンカンになり、比嘉さんが土下座して謝った、というのです」(前出の県政担当記者)

 地盤を譲っただけでも面白くないのに、土下座させられたとすれば、本気で応援する気にはなれないだろう。夏の参院選で比例代表としての出馬も取り沙汰されている比嘉氏の事務所に事実関係を問うと、「(土下座事件は)知りません。補選はもちろん(島尻氏を)応援しています」(担当者)と答えた。

 勝っても負けても、選挙後はしこりだらけだ。

日刊ゲンダイ
19/04/12 14:50
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/251766/