SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)には何の期待もしていない。私が政治や社会に対するコメントをBOT(自動的につぶやくプログラム)でツイッターに流しているのも、「一日一善」みたいな発想で、特にメリットはない。それよりもマイナス面が大きい。訳の分からない批判をしてくるやつもいるし、反論すれば逆恨みされる。


 論理的な批判なら、論理で返すことができるが、そうでないものが多い。「非学者論に負けず」という言葉があるとおり、最終的にはバカが勝つのである。彼らは狭いコミュニティーの中で、「論破してやった」と一方的に勝利宣言する。

 ネトウヨという言葉があるが、彼らは右翼ですらなく、実態はネット上の陰謀論やデマに流される情報弱者である。安倍政権の失政を批判すると「他に誰がいるのか」、法案の矛盾を指摘すると「対案を示せ」、嘘を指摘すると「上から目線だ」。あらかじめ用意されたテンプレートに毎回乗っかり、思考停止し、生ぬるい世界に閉じこもる。

■三流国家に拍車

 多くの人は「言葉が通じない」という絶望感に襲われ、口を開く気もなくしてしまう。そして「大衆社会なんてこんなものだ」と達観してみせたりする。こうしたニヒリズムが社会に蔓延している。

 統一地方選が近づいてきた。この選挙におけるわれわれ日本人の最大の敵はなにか?

「思考停止」と「諦観」である。

 偏向メディアが流す情報、ましてやネットで拡散するデマを妄信するのではなく、まずは虚心になって事実に向き合うべきだ。世の中にはさまざまな立場や考え方がある。それを尊重すべきなのは当然だが、議論の前提となる事実そのものを捏造する勢力は論外だ。入管法改正に関する法務省のデータごまかし、森友事件における財務省の公文書改ざん、南スーダンPKOにおける防衛省の日報隠蔽、裁量労働制における厚労省のデータ捏造など、すでにわが国は常識が通用しない三流国になっている。

 今回の選挙は地方政治だけが問われているのではない。森友問題、加計問題、TPP、移民政策、カジノ招致、消費税増税、派遣法の改悪……。安倍政権は、水道事業の民営化や放送局の外資規制の撤廃ももくろんでいた。

 不道徳な政権に国民が審判を下す日がやってきた。

日刊ゲンダイ
19/04/06 06:00
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/251270/