「下関北九州道路」で利益誘導したと取られる発言をした塚田一郎副国土交通相が5日、辞表を提出し、建設推進派からは早期幕引きを望む声が相次いだ。ただ、道路の必要性に改めて疑問を感じた市民もおり、計画推進に影響が出そうだ。

 北九州市など2市2県は2013年度以降、独自に需要調査を実施。地元の政財界を巻き込んで推進してきた。北九州市幹部は「迷惑な話だ。市としては必要な事業として計画を進めてきた。その部分は声を大にして言っておきたい」。北九州商工会議所の幹部は「辞任したので事態は収まってほしい。生活や経済に必要で、事業に及ぼす影響はないと信じる」と沈静化に期待を込める。

 一方、地元で改めて計画に疑問を感じた人もいる。門司区の自営業、土井義信さん(70)は「橋やトンネルが混雑しているようには見えず、下北道路の必要性を感じない。巨額の税金が投入されるにもかかわらず『忖度(そんたく)』で建設するとは、政治の根幹が問われる問題だ」と語気を強めた。

 辞任劇は、投開票が7日に迫った県議選にも影響しそうだ。市内の自民候補の陣営幹部は「有権者が迷った末に『不祥事を起こした自民に投票するのはやめよう』と決断をすることは考えられる。ラストスパートの時期に余計なことはしないでほしい」と頭を抱えた。一方、野党系候補の陣営幹部は「忖度発言は長期政権のおごりの現れだ。激戦なので少しでも追い風はありがたい」と語った。【宮城裕也、高橋慶浩、木村敦彦】

毎日新聞
2019年4月6日 08時55分
https://mainichi.jp/articles/20190406/k00/00m/040/019000c