道路事業の調査をめぐり、安倍晋三首相と麻生太郎副総理兼財務相の意向を「忖度(そんたく)した」と発言した塚田一郎国土交通副大臣が5日、辞表を提出した。野党は、国直轄の調査に引き上げた経緯について真相解明を目指すと同時に、更迭を否定してきた首相に批判の矛先を向ける。統一地方選や参院選への影響を懸念する与党からも、政府の対応を批判する声が強まっている。

自民・甘利明選挙対策委員長

 (参院選新潟選挙区で改選を迎える塚田一郎参院議員の差し替えについては)ありません。彼は生真面目な性格で、ウケを狙うような軽率な行動に出てしまった。言ってよい言葉と言ってはいけない言葉がある。事実からはみ出した話は、いかに笑いを誘ったとしても絶対に発言してはいけない。誠心誠意、自身の政治姿勢を訴えて、失点を取り返してもらいたい。(都内で記者団に)

岩屋毅防衛相

 選挙応援の場で、本人は少し会場を盛り上げたい気持ちで言ったんだと思うが、いやしくも国交副大臣。そういう事業を所管する省庁の副大臣としては極めて不適切な発言だったと思う。同じところ(自民党派閥)で勉強する同志でもあるので、反省してさらに精進していただきたい。

 本人がすぐに発言を撤回し、謝罪・おわびしているので、(安倍政権は)まずは判断を見守るということだったと思うが、国会その他の反応が思いのほか厳しかったということで、本人がこれ以上迷惑はかけられないと判断されたんだろうと思う。(記者会見で)

社民・又市征治党首

 塚田氏の発言は選挙向けのリップサービスでは済まされない。応援する候補者の選挙を有利にするための露骨な利益誘導発言だ。首相らの意向を忖度して、本当に便宜を図ったのなら、政治の私物化の極致だ。辞任は統一地方選や衆院補選への影響を考えてしっぽ切りを図ろうとしたのだろうが、塚田氏を最後までかばい続けた首相の任命責任は残る。幕引きを許さず、道路整備の問題点の追及や忖度発言の真相究明を図るとともに、首相の任命責任をただしていく。(談話で)

朝日新聞
2019年4月5日16時21分
https://www.asahi.com/articles/ASM454F5FM45UTFK00P.html