民意無視の大阪府知事、大阪市長の入れ替え「ダブル選」で、知事選に出馬した吉村洋文前大阪市長。日刊ゲンダイは、3月15日付で「消えた寄付金300万円」と、吉村氏の政党支部の政治資金不記載問題を報じたが、また不可解なカネの流れが分かった。

吉村氏が衆院議員時代に代表を務めた「維新の党衆議院大阪府第4選挙区支部」。吉村事務所は16年1月、大阪府の選挙管理委員会に15年分の政治資金収支報告書を提出。ところが、8カ月後の9月15日付で報告書を「訂正」。内容は、15年1月1日付で吉村氏本人から100万円の借入金を受け、同12月25日に返済したというものだ。

 この訂正について、吉村事務所は「(借入金と返済の記載を)失念していた。失念していたことに気づいた時点で訂正した」と説明しているのだが、収支の詳細を示す文書や資料について「吉村氏本人からのものなので、借用書などは作成していない」という。

 総務省によると、政治団体が返済金を支出する場合、「支出先からの領収書徴収義務がある」(政治資金課)といい、政治資金規正法も会計帳簿を備えるよう義務付けている。ところが、吉村事務所は訂正に関わる会計帳簿の記載を「していなかった」と回答。100万円の貸し借りについて何ら客観的な証拠が残っていないのだ。
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 不自然なのはそれだけじゃない。吉村氏が市長だった時代の「資産等報告書」を見ると、15年12月19日時点の吉村氏の「貸付金」は「なし」と記載されているのだ。つまり、「100万円を返済」したと訂正した収支報告書とツジツマが全く合わないのである。

 吉村事務所は「借入と返済に気づいたのが、16年9月15日であり、事務員が気づいた時点で訂正した。なので、15年12月19日時点では気づいていなかった」というが、ズサン過ぎるだろう。政治資金に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏はこう言う。

「訂正前の報告書を見ると、15年の新年開始時点で支部には資金がなく、約40万円の寄付を受領したのが1月26日です。しかし、最初の寄付の前に計約30万円を支出している。原資がない状態で支出を繰り返していたわけです。後になって“裏金”からの不自然なカネの出し入れではないか、と追及されないよう、100万円の訂正をした可能性があります。吉村事務所の処理は規正法に違反する恐れがあります」

 ゴマカシは許されない。

日刊ゲンダイ
19/03/27 14:50
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/250559/