2020年東京五輪・パラリンピック招致を巡る不正疑惑で、フランス司法当局から贈賄容疑で捜査を受けている日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長(71)は19日、東京都内で開かれるJOC理事会で、退任する意向を表明する。JOC関係者によると、任期満了となる6月まで会長を務める見通し。招致疑惑には潔白との姿勢を貫くが、東京五輪への影響などを考慮して判断したとみられる。後任は柔道五輪金メダリストでJOCの山下泰裕・選手強化本部長(61)が有力となっている。

 竹田氏は01年から会長を務め、現在10期目。招致委員会理事長を務めた東京五輪までの続投に強い意思を示していたこともあり、当初は「竹田体制」を続投し、五輪本番を迎えることが既定路線だった。JOC内では「選任時70歳未満」という役員の定年規定を改定する準備も進めていた。

 しかし、今年1月、フランス当局から昨年12月に事情聴取を受けていたことが発覚。直後の釈明会見では質疑を一切受け付けず、わずか7分で打ち切り批判を浴びた。その後は国際会議に欠席するなど国際オリンピック委員会(IOC)委員としての活動にも支障が出ていた。混乱を招いた竹田氏の対応に大会関係者から疑問の声が強まり、イメージ低下を懸念するIOCも早期退任を求めたとされ、退任への流れが加速した。

 山下氏は国際的にも知名度があり、五輪を迎える「顔」としての期待や13年に発覚した柔道女子の暴力指導問題を受けて改革に取り組んだ実績などを評価する声がある。【田原和宏、村上正】

毎日新聞
2019年3月18日 19時10分
https://mainichi.jp/sportsspecial/articles/20190318/k00/00m/050/172000c