4月7日に行われる大阪の“入れ替えダブル選挙”。11日、自民党が知事選への出馬を要請していた小西禎一元大阪府副知事が立候補を正式表明した。本命だった辰巳琢郎氏に断られ、知名度ゼロの候補者を担ぐことになったが、意外にも自民党は自信を強めている。

 小西氏は、1980年に東大法卒後、大阪府入庁。総務部長だった2011年、維新提案の「職員基本条例案」に盛り込まれた職員を5段階区分で評価する制度に反発。「条例案には違法性や技術的な問題点がある」と苦言を呈した。

 松井知事1期目の12年、副知事に就任したが、任期中の15年に「一身上の都合」で辞任。きのうの会見では改めて「府政への思いに開きが生じ、松井さんを知事として支えることができなくなった」と明言した。バリバリの「維新嫌い」である。

 無名の小西元副知事が手を挙げたのは、「維新憎し」という感情だけでなく、勝算があってのことのようだ。

■自公立国共まとまれば勝機
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 会見に同席した花谷充愉府連幹事長は、「公明の支援をお願いする」と強調。「(国民や立憲、共産からも)自然発生的に支援がもらえる候補者だ」と皮算用してみせた。

 実際、自、公、立、国、共の主要政党が“反維新”で結集すれば、十分に勝機はある。16年参院選では、維新の得票は約140万票、非維新は計約224万票を獲得している。府政に詳しいジャーナリストの吉富有治氏はこう言う。

「15年の知事選は、松井氏が対立候補に100万票差のダブルスコアで勝利しています。ただ、当時の自民候補は色がついていて、民主や共産は支援しづらい状況でした。公明も自主投票に回った。一方、小西氏は元役人で色がついておらず、どの政党も支援しやすい。加えて、小西氏は橋下、松井両知事の元最側近で、府庁内部のウラのウラまで知り尽くした人物。維新にとって最も嫌な相手と言えます」

 松井知事はきのう、小西氏について「役所の人ですから内向き。調整型です。外を向いて外交的に自治体を成長させる政治家のタイプとは違う」とムキになって余裕ぶっていたが、思わぬ“維新キラー”の登場に内心ヒヤヒヤなのかもしれない。

日刊ゲンダイ
19/03/12 14:50 
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/249279/