企業が不祥事で設置した第三者委員会を評価している弁護士や大学教授らによる「格付け委員会」は8日、「毎月勤労統計」の不正調査を検証した厚生労働省の「特別監察委員会」の報告書を5段階で最低の「F」とした。委員長を務める久保利英明弁護士らが同日、東京都千代田区の日本記者クラブで記者会見し「まったく信用できない。新たな委員会を作り再調査すべきだ」と厳しく批判した。

 格付け委員会は、監察委が1月22日に公表した報告書と2月27日の追加報告書を精査し、委員会の独立性や中立性、事実認定の正確性などから評価した。監察委の樋口美雄委員長が厚労省所管の独立行政法人「労働政策研究・研修機構」の理事長であることなどから第三者委員会と認められないことや、事実認定が聞き取り調査をした職員の供述に大きく依拠して客観性を欠くことなどが低評価につながり、委員会の全委員9人が「F」と格付けした。

 監察委が不正調査について「厚労省の幹部や職員に隠蔽(いんぺい)の意図は認められなかった」と結論づけた点についても、「結論ありきで隠蔽の定義をあえて厳格なものにした」「限りなく黒に近いのに、認められないとしたのは見苦しいとしか言いようがない」などと指摘した。【神足俊輔】

毎日新聞
2019年3月8日 20時52分
https://mainichi.jp/articles/20190308/k00/00m/040/244000c