「これ書いたらクビに…」安倍四選、新元号、石破除名の核心

「これを書いたらクビになる」──国会や首相官邸で日々取材する政治部記者には、見聞きしても絶対に書けない記事がある。首相や官房長官、与党幹部が番記者にふと漏らした本音は、「夜回りメモ」や「オフ懇メモ」として本社のデスクに報告されるが、決して紙面に載ることはない。

しかし、本来そうした話こそが、この国の政治に何が起きているかをありのままに知ることができる生の情報なのだ。

 天皇の代替わりを控え、内政では7月の参院選と10月の消費税増税という国民生活を左右する政治日程がある。外交はロシアとの領土交渉など大きな変化を迎えている。

 そこで覆面政治部記者座談会を開催し、“核心”に迫ることにした。本誌の呼びかけに、政権に食い込みながらも“冷めた目”で権力を分析するデスククラスのA氏、首相官邸や自民党を長く担当して主流派、反主流派のどちらにも太いパイプがあるベテランB氏、そして夜回り取材の第一線で飛び回る中堅の2人、“安倍肯定派”のC氏、政権に距離を置くD氏という政治部記者4人が匿名を条件に応じた。

司会:安倍首相の総裁任期は残り2年半。自民党内にはポスト安倍の有力候補が見当たらず、二階俊博・幹事長は党大会の囲み取材で「安倍四選」説をぶちあげ、二階派の林幹雄・幹事長代理、安倍側近の加藤勝信・総務会長らも同調し始めた。このまま安倍政権が続いていくのか。

記者D:二階さんは有力な後援者に真意を問われてこう語っています。「このままだと安倍首相はレームダックになっていくから、林にも“四選ありうるんじゃないか”と言わせたんだ」と。

記者A:自分の権力基盤を守るためには、総理の求心力が衰えては困るからね。二階さんは細野豪志の派閥入りで同じ選挙区に候補を抱える岸田文雄・政調会長と対立し、福岡知事選では麻生太郎・副総理と見えざるバトルを展開している。

 二階側近の林幹事長代理が四選に言及したのは、白金台の中華料理屋で開かれた安倍総理の同期会(2月18日)の席だった。総理が「次の総裁候補は岸田(文雄)さんだよね」と水を向けたのに対して、林氏が「四選」と釘を刺した。このところ総理が「次は岸田でいい」と語ったというメモが流れているから、二階さんは“そうはさせない”と四選論を煽って牽制している。

記者D:麻生さんと二階さんのバトルもガチンコ。福岡知事選では幹事長特別補佐の武田良太氏ら二階派議員が推す現職が優位に立ち、麻生さんが立てた新人候補の旗色が悪い。二階派議員たちは幹事長の威光を背に「現職を応援しても党本部から処分されることはない」と公言していて、麻生さんはすっかり拗ねてしまった。番記者も知事選の情勢を聞けるムードじゃない。老獪な二階さんは、安倍四選と言いながら、首相の任期満了が見えてきたという“権力の空白”に乗じてしっかり勢力を拡大している。

記者B:四選論はどこまで本気なのかねえ?

記者C:いや、安倍四選の可能性はあると見ています。日経新聞は〈外交からの「総総分離」論〉という政治部次長の署名記事で、総裁任期満了後、総理と総裁を分離して安倍首相が続投する説を報じた。

記者B:あれは飛ばし記事だろう。総総分離というのは総理と自民党総裁を分け、安倍さんは2021年の任期切れで総裁は退くが、総理はそのまま続けるというやり方。総裁四選ではないから党則改正は必要なく、力がある限り総理に居座れるという理屈だが、過去、実現したことはない。

記者A:ポスト安倍の総裁候補たちにすれば、“総総分離するくらいなら、任期がある四選を認めた方がまだいい”となる。

記者D:まさか四選を認めさせるための仕掛けだったりするんですかねぇ。


2につづく

※週刊ポスト2019年3月15日号
2019年3月4日 7時0分
http://news.livedoor.com/article/detail/16105497/