二〇二〇年東京五輪招致を巡り、フランス司法当局から贈賄容疑で正式捜査を開始された日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長(71)の退任論が浮上していることが十五日、複数の関係者への取材で分かった。JOCは六、七月の評議員会と理事会で役員改選を控え、大会のイメージ悪化が懸念される中、続投を疑問視する声も出ている。後任には全日本柔道連盟会長の山下泰裕氏(61)らが取り沙汰されており、竹田氏を名誉会長とする案もある。

 東京の招致委員会で理事長を務めた竹田氏は一貫して潔白を主張している。しかし、捜査は長期化が見込まれ、五輪を前に疑惑を拭い切れない可能性もある中で、今回の改選期に進退を問う意見も一部で強まってきた。

 竹田氏は〇一年から会長を務めており、現在十期目。今回の役員改選でも対抗馬は不在とみられ、JOCは竹田氏の再選に向け「選任時七十歳未満」とする定年の規定の改定も検討してきた。しかし、相次ぐ不祥事を受けてスポーツ界がガバナンス(組織統治)の強化に取り組む中、組織の硬直化を招きかねない多選に対しても厳しい見方が出ており、今後処遇について議論が進む見通しだ。

 後任には参院議員で日本スケート連盟会長の橋本聖子氏(54)も候補に挙がっているが、五輪を控えるJOCの会長と国会議員との兼務は厳しいとみられる。

 竹田氏は取材に「真実は一つですから、それを今後も証明していきたい」と述べるにとどめた。

東京新聞
2019年2月16日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/sports/list/201902/CK2019021602000154.html