政務三役の腐敗が止まらない。“違法カレンダー”のバラまきで炎上した片山さつき地方創生相と菅家一郎環境大臣政務官に続き、今度は、副大臣にバラまき疑惑が浮上した。問題の人物は、左藤章内閣府副大臣(67)。性懲りもなく自身の選挙区内でカレンダーを配っていたことを日刊ゲンダイの独自取材で突き止めた。

 左藤副大臣は、衆院大阪2区選出(阿倍野区、生野区など)。繊維メーカー勤務を経て、2000年の衆院選で初当選するも、05年に落選。12年に7年ぶりに国政復帰した後、第2次安倍内閣で防衛大臣政務官や防衛副大臣を歴任、現在5期目を務めている。複数の学校法人の理事や評議員を兼務するなど、教育者としての一面も持つベテラン議員だ。

 にもかかわらず、“違法行為”が常態化していたのだから呆れてしまう。

「左藤さんは年明けに、地元の世話役らが集まる新年の賀詞交換会の場で、名刺より一回り大きいサイズのカレンダーを出席者に配って回っていました。表に顔写真と名前、プロフィルなどが印刷され、裏に今年のカレンダーが印刷されているものです。実は左藤さん、昨年も同じようなものを配っていたんですよ。新年の恒例にしているんでしょうか」(地元関係者)

公職選挙法は、カレンダーやうちわなどを自身の選挙区内で配布することを禁じている。各自治体の選挙管理委員会は、その旨を厳格に打ち出していて、例えば、栃木県足利市はホームページ上のQ&Aで、<候補者等が、その名入りの「うちわ」や「カレンダー」を選挙区内にある者に対して贈ることはできますか>という問いに、<禁止されています>と明確に示している。当然、国会議員も選挙区内でカレンダーをバラまいたらアウトである。

■「ミニリーフレット」と居直り

 いったい、どういうつもりで“名刺サイズカレンダー”を配ったのか。本人を直撃すると……。

「ああ、『ミニリーフレット』と呼んでいるものですね。政治資金パーティーのお土産の中に入れているものです。年明けの集まりのとき、年末のパーティーで余った分がポケットに入っていたので、『今度、(肩書が)何になったの?』と聞いてくる知り合いに配りました。公選法に引っかかるとは思っていません」

 悪びれもせず、「あちこちにバラまいているわけじゃない」と言い訳すると、こう居直った。

「いわば、入党や後援をお願いするための『広報グッズ』みたいなものです。党員を増やさないといけないし、ノルマが厳しいもんで……。もらった人がカレンダーと誤解しないように、表に『討議資料(議論のための資料)』と断りを入れていますよ」

 リーフレットなら、カレンダーを印刷するのはおかしい、と指摘しても、左藤副大臣は「(名刺サイズカレンダーを)渡した人に、イベントの日にちを告知するとき便利なんです」とノラリクラリ。「カレンダーと誤解されないように」と言いながら、「便利だから」とは発言が矛盾している。最後まで、反省の弁はなかった。

 政治資金に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏が言う。


「『討議資料』と書かれていますが、政策の中身などについて何も書かれていないし、わざわざカレンダーを載せる必要がない。恐らく、カレンダー配布は違法ということを認識した上で、言い訳のために『討議資料』と明記しているのでしょう。公選法違反の可能性はあります」

 片山大臣や菅家政務官、左藤副大臣のカレンダー配布は、限りなくクロに近い。これだけ“確信犯”がズラリとは、トップがトップだけに安倍政権の“質”がわかるというもの。ザル法の公選法も改正して「カレンダー配布禁止」の明記が必要だ。

日刊ゲンダイ
2019/02/13
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/247412/
https://c799eb2b0cad47596bf7b1e050e83426.cdnext.stream.ne.jp/img/article/000/247/412/d1ce7b94b9a3626942cfc33c4b41ddb820190213123117518.jpg