勤労統計「賃金低く出る」 首相アベノミクス批判に反論

 安倍晋三首相(自民党総裁)は九日、党本部で開いた全国幹事長会議で、毎月勤労統計の不正を巡り、野党の「アベノミクス偽装」批判に反論した。約十二分間のあいさつの大半を賃金動向や経済情勢の説明に割き、四月の統一地方選と夏の参院選に向けて統計不正の影響払拭(ふっしょく)を図った。

 首相は「長年にわたり不正な調査が行われ、見抜けなかった責任を痛感している」と陳謝。実態解明と再発防止に努める考えを強調した。その上で「この問題とアベノミクスは全然関係ない」と断言した。

 賃金は春闘で決まることに触れ「五年連続で今世紀に入って最も高い水準の賃上げが行われている」と強調。毎月勤労統計で示される賃金は「事業所ごとの人件費の総額を働く人の総数で割った額だから、少し性格が違う」と述べた。

 例として、高給をもらっていた社員が定年退職すれば、残る社員の給与は下がっていないのに「平均賃金は下がる」と説明した。比較的低賃金のパートを新たに雇用した場合も事業所の平均賃金は下がると指摘。「(賃金が)低く出るのはこの統計の特徴だ」と語った。 (川田篤志)

東京新聞
2019年2月10日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201902/CK2019021002000120.html