久々に存在感を示す好機を自らフイにするとは愚かな政党だ。都議会オリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会が、東京五輪招致の裏金疑惑に関する竹田恒和JOC会長の参考人招致を否決。都民ファーストの会が賛成すれば実現したのに、“ご主人様”の小池都知事に忖度。ホストシティーの議会として真相究明に当たる責務を、あっさり放棄したのだ。

 仏司法当局の捜査進展を受け、先月17日に特別委メンバーの音喜多駿都議が竹田氏の招致を要求。しかし、31日の理事会で賛成したのは共産党の理事1人のみ。理事ではない音喜多都議は採決には参加できなかった。

 とはいえ、オリパラ特別委の委員長は都Fの小山有彦都議、3人の副委員長のうち1人は都Fの伊藤悠都議だ。理事5人にも都Fの2人が名を連ねる。つまり都Fメンバーが全員賛成すれば、竹田氏に裏金疑惑の真相を迫れたのだ。

「裏金疑惑は都民も注視しており、開催都市の議員として解明すべき問題です。“しがらみのない政治”を掲げる都Fこそ、積極的に追及すべきでしょう。後ろ向きな態度は理解できません」(音喜多駿都議)

■ホストシティーの責務放棄

 2017年の都議選で当時の小池旋風に便乗して都Fが圧勝、最大会派に躍り出たのも今は昔。昨年8月に都内の有権者を対象にした朝日新聞の世論調査では支持率は1%に満たず、都内の地方選も苦戦続き。存在感は薄れるばかりだ。

 竹田氏招致で久々に注目を集めるチャンスをオジャンにした理由は、来年予定の都知事選で再選を目指す女主人への過剰な配慮のようだ。

「竹田氏はオリパラ組織委員会副会長も兼務し、組織委は会長の森喜朗元首相を頂点とする自民の牙城です。小池知事は昨秋以降、過去の批判への謝罪文まで渡し、都議会自民にスリ寄り。そのさなか、自民が反対する竹田氏の招致に都Fが賛成し、小池知事にケチをつけるマネはできっこない」(都議会関係者)

 小池知事が自民に秋波を送るのは、東京五輪の知事でいるための布石。落ち目で“しがらみだらけの知事”にしがみつくとは、都Fのメンバーは恥を知るべきだ。

日刊ゲンダイ
2019/02/05
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