こんな国会議員なんていらない

 現在の国会議員数は、衆参合わせて707人。これだけいれば大層な仕事ができるはずだが、政治不信は増すばかりで、彼らの歳費や政党助成に費消される巨額の税金が、どぶに捨てられているに等しい状況だ。
 本来、国会は行政を監視するという重要な機能を有しているにもかかわらず、財務 省や防衛省、文科省、厚労省などの不正発覚は、内部告発や報道が端緒となっており、国会は後追いで騒ぐだけだ。
 この国の政治家たちは、何のために存在しているのか?

■不勉強な議員ばかり

国会議事堂の2階には、議員が出入りするための本会議場の扉がある。テレビ中継のカメラが入り、一般人が本会議を傍聴するのは3階席だ。政党控室の大きさは議員数に比例して広さや場所が決まり、出入り口に近い2階には与党と最大野党の控室が、3階には少数野党の控室が設置されている。

 政党控室では、本会議前に議題となる法案の説明が行われ、賛成すべきか反対すべきかの指示がある。例えば、「1つ目の法案から4つめの法案は起立採決で賛成だが、5と6は記名投票で反対とする」などだ。議員は、重要法案や対決法案があるときだけ緊張感を持って聞いているが、通常国会で100近くある法案の大部分は与野党ともに賛成となるため、ほとんどの議員が無関心となっているのが実情だ。

 控室の周りでは、「えーと、何だったっけ?今日の法案?」と、その場で聞いている議員をよく見かける。驚くべきことに、法案を提出した側の与党議員の中には、まるで中身を知らずに賛成する議員が少なくない。「党の部会で専門家が審議して決定したのだから間違いないだろう」と信じ込んでいるらしく、党から指示されたとおり何も考えずに賛成するケースが多い。昨年成立した「改 正水道法」も注目されない中で成立した。「種子法廃止」に至っては、内容も吟味されないまま成立している。

■種子法廃止と改正水道法への懸念

 「種子法」とは、戦中から戦後にかけて食糧難の時代を経験した日本が、「食料を確保するためには種子が大事」であると定義し、優良な種子の安定的な生産と普及を「国が果たすべき役割」と定めた法律だ。種子の生産を都道府県のJAや普及センターが、地域に合わせた良質な種子を農家に行き渡らせるための農業試験場の運営などに必要な予算の手当などを、国が担ってきた。

 「種子法廃止」の背景にあるのはTPP(環太平洋パートナーシップ協定)だ。日本の多様な品種を守ってきた種子法は、TPPにおいては自由な競争を阻害する「非関税障壁」とみなされる可能性があることから、同法の廃止が決まったという。種子法を廃止して民間企業、とくに外国企業の参入を積極的に進めようという思惑があるのだが、公的資金がなくなれば、将来的に種子の価格が跳ね上がり、食べ物の価格に影響が出ることが懸念される。また、都道府県が種子事業から撤退することにより、民間企業による種子の私有化が進むなどの問題も想定されている。「種子法」の意義を議論することもなく、廃止を決めた政府・与党の責任は重い。

 「改 正水道法」はフランスのヴェオリア社、スエズ社、イギリスのテムズウォーター社といった水メジャーの参入を視野に入れていると考えられている。心配なのは水道料金の高騰だが、株主の利益を優先するグローバル企業は間違いなく利益を求めてくる。そうでなければ株主から糾弾されるはずだ。実際、ヴェオリア社、スエズ社の本拠地、フランスのパリでは、85年から09年のあいだに水道料金が200%以上上昇した。日本でも同じことが起きる可能性が否定できない。

 国会でまともな議論がなされなかったため、地方自治体の中から「種子法廃止」に対し、県レベルで対抗しようという動きが出てきた。新潟県、兵庫県、埼玉県は条例を制定し、県の公的機関が種子法廃止前と同じように種子の生産・供給が可能な体制を続けられるようにしたのだ。新潟県議会では水道民営化に反対する意見書を野党が提出し、それに自民党が賛成して採決されるという事例も起きている。地方の行政や議会の方が、よほどこの国の未来を考えているということだ。

2につづく

ニュースサイトHUNTER
2019年1月25日 09:00
http://hunter-investigate.jp/news/2019/01/-100-ja-tpptpp-8509.html