総務省は24日、政府が重要と位置づける56の基幹統計のうち4割にあたる22統計で作成に誤りがあったと発表した。必要な項目を集計していなかったり、公表が計画より遅れたりするケースがのべ31件あった。政府による統計作成のずさんな実態が浮き彫りになった。問題を受けて総務省の統計委員会に専門部会を設け、基幹統計以外の233統計も全て点検する。

厚生労働省の毎月勤労統計で不適切な調査が長年続いていたことが発覚し、各府省が全56統計の点検を進めていた。

数値の誤りがあったのは国土交通省の建設工事統計。事業者が単位を間違えて記載したのを集計過程で見逃した。国交省は同日に訂正し、2017年度の施工高は15.2兆円から13.6兆円へ、前年度比の伸び率は14.9%から2.5%へ大幅な下方修正となった。

景気判断によく使われる統計では、総務省の全国消費実態統計や財務省の法人企業統計、国交省の建築着工統計などでも集計・公表の項目に計画との違いが見つかった。

総務省によると誤りが判明した22統計のうちデータ点検のミスだった国交省の建設工事統計を除く21統計は統計法に違反している可能性がある。

統計の計画と実態のズレは今回の総点検まで放置されていた。統計の厳密な手順や手続きを軽視している点では厚労省の毎月勤労統計の問題と変わらない。行政への信頼は大きく揺らいだ。

日本経済新聞
2019年1月24日 22:28
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4044403024012019MM8000/