東京五輪招致における贈賄容疑をかけられている日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長(71)。フランス司法当局から捜査対象となっていることについて、15日、JOC本部の岸記念体育館で会見した。ところが、潔白を証明するどころか、会長続投さえ危うい状況に追い込まれている。

「私自身はBT社との契約に関し、いかなる意思決定プロセスにも関与していない」――。竹田会長は原稿をボー読みし、自分が“シロ”であることを一方的に説明。わずか7分で会見を打ち切ると、記者の問いかけに応じることなく退場した。

 詰め掛けた100人以上の記者からは、「おかしいじゃないか」との怒りの声が相次いだ。会見に出席した外国人記者のひとりは、「従来の説明を繰り返しただけで何も語っていない。バカげている」と憤った。

 会見の中身のなさは、加計学園の加計孝太郎理事長を上回っている。疑惑にダンマリだった加計理事長でさえ、昨年10月の会見で、一応は記者の質問に答えていたからだ。

 よくぞ、こんな男がJOC会長に就任できたものだが、もともとはお飾りとして担がれたという。

「竹田会長は、馬術で1972年のミュンヘン五輪、76年のモントリオール五輪に出場した“オリンピアン”。しかも、旧皇族の竹田宮が父親という血筋の良さもある。そのため、JOC初代会長だった堤義明氏の推薦を受けて会長に選任されています」(スポーツ紙記者)

 JOC会長として2001年から今まで10期18年にわたる長期政権を築いたが、仏当局の捜査次第では、東京五輪までにクビになる可能性が高い。実際、政界からは竹田会長に対する厳しい声が続出している。

 桜田義孝五輪担当相は15日の会見で、仏当局が竹田会長の贈賄容疑を捜査し始めたことについて、「イメージとしては良くない、非常に残念だ」と言い放ち、柴山昌彦文科相も竹田会長に対して「疑惑を払拭できるよう引き続き説明責任を果たしていく必要がある」と突き放した。さらに、安倍政権の“守護神”菅官房長官も「疑念を払拭できるような説明責任を果たしていただきたい」とクギを刺した。安倍政権は、竹田会長個人に全責任を負わせようとしているように見える。

■身柄引き渡しで日仏外交問題に発展する可能性

 加えて、国民民主党からは竹田会長を国会に参考人招致するよう求める動きも出ている。元特捜検事で弁護士の若狭勝氏がこう言う。

「仏当局が竹田会長を起訴する可能性は、五分五分でしょう。起訴後に、身柄引き渡しを要求してくるのではないか。しかし、日本は仏と犯罪人引き渡し条約を結んでいない。さらに、竹田会長の疑惑が確かだとしても、国内法で処罰できない。つまり、日本には竹田会長の身柄を引き渡す根拠がないのです。引き渡しを巡って日仏の外交問題に発展するかもしれません」

 外交問題の“火種”であれば、なおさら、安倍政権は竹田会長を追放したいはずだ。

「安倍政権にとっては、悩ましいでしょう。このタイミングで竹田会長を辞めさせたら、何か後ろ暗いことがあると受け取られかねませんから。一方で、会長に居座り続けていたら、東京五輪のイメージ悪化は避けられない。竹田会長に『辞めます』と言わせるシナリオを描いているのではないか」(永田町関係者)

 五輪エンブレムのパクリ問題から始まり、東京五輪にはケチがつきまくっている。国民も呆れ果てるほかない。

日刊ゲンダイ
2019/01/17
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/245555/