2019年は統一地方選、参院選の年です。政治コラムニストで元朝日新聞編集委員の早野透さんが昨年を振り返りながら、安倍政治をどうみるのか、「本気の共闘」とは何か、さらには資本主義のあり方まで日本共産党の志位和夫委員長にズバリ聞きました。新春特別インタビューです。

早野 あけましておめでとうございます。

 志位 おめでとうございます。

 早野 昨年、何と言ってもすばらしかったのは、沖縄の知事選です。翁長雄志前知事が亡くなり、そのあとを継いで「辺野古米軍新基地反対」の玉城デニーさんが知事になった。これは志位さんの胸にどう刻まれていますか。うれしかったでしょう。

 志位 うれしかったですね。昨年の「党旗開き」で「今年は絶対に負けられないたたかいが二つある」と訴えました。一つは、沖縄県知事選で必ず勝利を勝ち取ること。もう一つは、安倍政権による憲法9条改定を許さないことです。

 知事選は8万票差をつけ、知事選史上最多得票で圧勝しました。明確な対立軸を示し、立場の違いを超えて心一つに結束すれば、安倍政権がどんな強権をふるって襲いかかってきてもはね返せるということを証明しました。

 憲法をめぐるたたかいでも、昨年の臨時国会で、自民党改憲案を提案するという安倍(晋三)首相の狙いを許しませんでした。

 早野 臨時国会閉会後の記者会見で、安倍さんは、悔しそうでしたね。(笑)

 志位 そうでしたね(笑)。改憲案の提案を許さなかったのは、安倍9条改憲反対の3000万人署名運動などの世論の高まりと、国会で野党がしっかり共闘したからです。

 2017年の総選挙で、改憲を公言する共闘破壊の逆流が突然出てきました。それに対して、共産党は“共闘の旗”を断固として掲げ、候補者を降ろして共闘を実現するという対応もやりました。選挙の結果、共闘勢力が議席を増やしました。いまふりかえると、あの対応がなかったならば国会は真っ暗闇になり、9条改憲が通されていた危険もあったと思います。

 早野 国会のなかに、その共闘が生きていると。突き詰めていえば、それが安倍さんの改憲阻止につながっているということなんですね。

 志位 そうです。昨年は「二つのたたかい」で勝利しました。今年の政治対決は、安倍9条改憲の是非、消費税10%増税の是非を軸に展開すると思います。そして今年は統一地方選と参院選があります。「本気の共闘」と日本共産党の躍進で、破綻した安倍政権を一日も早く終わらせたい。全国が沖縄のようにたたかおうと呼びかけたいですね。


沖縄勝利なのに土砂投入なぜ 早野
追い込まれているのは政府 亀井静香さんも米軍基地は不要 志位

早野 昨年の沖縄県知事選で玉城デニー知事が登場したにもかかわらず、辺野古では土砂投入が行われました。選挙で勝ったのに、なぜこうなるのでしょうか。沖縄に心を寄せる本土の人たちもみんなそう思っています。

 志位 絶対に許せない。安倍政権は“強権をふるえば諦めるだろう”と土砂投入を始めましたが、沖縄県民の怒りはますます燃え広がるに違いありません。実は展望がないのは政府の方なんですよ。

 辺野古米軍新基地の計画は、辺野古崎という岬の南側と北側の両方を埋め立てる巨大基地の計画です。

 強権的に埋め立てを開始しても、せいぜい埋め立てられるのは南側の浅瀬の部分だけ。問題は大浦湾側の深場の部分です。ここが超軟弱地盤だということが明らかになりました。マヨネーズのような状態で(笑)、40メートルぐらい堆積物が積み重なっている。護岸の土台になるケーソンと呼ばれるコンクリート製の巨大な箱を落としたら、ずぶずぶと沈み、傾いてしまいます。(笑)


早野 マヨネーズを固めるのはちょっと難しいですなあ。(笑)

 志位 大規模な地盤改良工事が必要で、それをやるためには知事から設計変更の承認を得る必要があります。デニー知事が承認しなかったら、埋め立て自体ができない。追い詰められているのは、政府の方なんですよ。

 早野 なるほど。あんな美しい場所を埋め立てること自体が人間のおごりです。だから天が、地盤を軟弱なマヨネーズ状にして(笑)、「おまえたちそんなことをやっていいのか」と怒っている。自然と人間の共生を「軍事」がかき乱すべきじゃないんです。


2につづく

しんぶん赤旗
2019年1月1日(火)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-01-01/2019010101_01_0.html