今年は私が考える二大政党制への歩みが大きく頓挫した1年でした。私が所属していた旧希望の党は旧民進党へ合流して国民民主党が結成されましたが、参加せずに無所属議員となる道を選びました。

議席の重さ改めて自覚

 私がイメージする二大政党とは、外交・安全保障政策では共通の基盤を有し、内政の部分で差別化を図るという姿です。しかし、立憲民主党の外交・安保政策がここまで与党と距離が開いたものになってしまうと、政権交代は非常に難しい。国民民主党には頑張ってもらいたいですが、来年夏の参院選も次期衆院選も、野党第一党に引っ張られる形にならざるを得ないと思います。

 ただ、党運営のあり方という点では立憲民主党の枝野幸男代表のやり方は極めて合理的だと思います。衆院会派「無所属の会」の方々の立憲民主党会派加入の際も、政策の軸をしっかり立てて合致する人にだけ入ってもらおうとしている。

 私も旧希望の党の結成直後、党創設メンバーとして同じことをやろうとしたんですよ。現実的な外交・安保政策や憲法改正論議の推進という軸を明確にしたかった。しかし、その姿勢を貫ききれなかったことが党の性格を分かりにくくして、結果として党崩壊につながってしまった。

 無所属議員として過ごしている今の時間は決して無駄ではありません。自分を見つめ直すという意味ではよかったと思います。

 例えば、法案の賛否は全て自分で判断しなければならない。当たり前のことですが、党に所属していると自分が関わっていない政策も自動的に賛否が決まってしまうのです。熟考の末、改正出入国管理法には賛成し、参院定数を6増やす改正公職選挙法には反対しました。国会議員が持つ一票の重みを改めて自覚するよいきっかけになりました。

 児童虐待根絶にも取り組んできました。3月に東京都目黒区で5歳の女児が虐待死した事件がありましたが、あの事件は防げなかったのかという無念な思いがあります。超党派議員連盟などで、志を同じくする与野党の議員とともに児童虐待を根絶するための取り組みを進めています。

発信する機会限られる

 ただ、無所属で活動する難しさは自分の考えを発信する機会が限られることですね。有権者に「何をやっているか分からない」と言われることは増えました。

 自民党に入るという噂ですか? 私は「非自民」で20年近く活動してきましたので、簡単に「自民党に入る」なんて言えません。ただし、地元の有権者に支えてもらってずっと選挙区から送り出してもらっているわけです。ならば、せっかくいただいた議席を本当に社会に役立てたいという思いは強いです。

 静岡県知事選への出馬が取り沙汰されたこともありましたが、私は国政で頑張っていくつもりですよ。

 衆院会派「未来日本」を結成した無所属の長島昭久、笠浩史両衆院議員とは安保政策の考え方は非常に近いです。しかし、新しい組織を作ることの大変さは希望の党で身にしみている。(政党や会派を作ることに)エネルギーを費やすより、具体的に物事を前進させることに力を注ぎたいと考えています。

 私は20代で国会議員になり40代前半まで休まず走り続けてきましたが、ここ数年はなかなか思うようにいかなかった。48歳の年男を迎える来年は、過去のことやこだわりはいったん捨てようと思います。政策、理念は大事にしつつ、どう社会に貢献できるかということを考えていきたい。来年の干支(えと)のイノシシのようにまっすぐ進みたいですね。(広池慶一)

産経新聞
https://www.sankei.com/politics/news/181221/plt1812210006-n1.html