国の核燃料サイクル政策の柱の1つ、高速炉の開発計画について国の作業部会は18日、「本格利用が期待されるタイミングが21世紀後半」とするロードマップの案をまとめました。かつて、1980年代後半の実用化を目指すとしていた当初の目標時期より最長で100年ほど後退する形となり、専門家は「原子力をめぐる環境が不確実になったことの表れで高速炉の開発ありきでなく、時代に合った議論をすべきだ」と話しています。

政府は、おととし高速増殖炉「もんじゅ」を廃炉にする一方、高速炉開発の継続を決め、国の作業部会が18日、今後の開発のロードマップ案をまとめました。

案では「高速炉の本格利用が期待されるタイミングが21世紀後半」としています。

日本が推進する核燃料サイクル政策の中核と位置づけられてきた高速炉開発は、1967年の国の長期計画で実用化の目標を1980年代後半としてきました。

しかし、その原型炉とされたもんじゅの運転開始は1994年で、よくとしに起きた冷却材のナトリウムが漏れる事故などトラブルが相次ぎ、1兆円以上が投じられながら、ほとんど稼働せずにおととし廃炉が決まりました。

今回、示された案では福島第一原発の事故後、初めて高速炉開発の目標時期が明記されましたが、当初の目標より最長で100年ほど後退することになります。

これについて元・原子力委員長代理の長崎大学 鈴木達治郎教授は「推進側だけで議論しているのが問題で『もんじゅ』の失敗を踏まえ、1度立ち止まって考えるべきだった。目標時期の後退は原子力をめぐる環境が不確実になったことの表れで、高速炉の開発ありきで研究を進めるのではなく、今の時代に合わせた長期的な研究開発の必要性を議論すべきだ」と話しています。

2につづく

NHKニュース
2018年12月18日 17時56分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181218/k10011751521000.html