岩手県雫石町で起きている、水を巡るイザコザが話題だ。

 コトの発端は、町内の住宅やペンションなど35軒に水を供給する民間企業「イーテックジャパン」(仙台市)が住民に対し、水道料金の追加徴収を受け入れなければ、週明け17日から水道を止めると通告したことだ。

 イーテックジャパンは経営悪化を理由に、井戸水をくみ上げるポンプの電気料金(約51万円)を滞納(今年9、10月分)。住民に負担を願い出たが、肝心の「お願い」の仕方が良くなかった。

 同社は8日、住民20人に事情を説明。ところが、会社側の責任を追及した住民に対し、「なんでこっちが頭を下げるのか。うちは水道供給を止めた方が赤字は減るんですよ」などと居直った。住民を説得するどころか、かえって逆効果となったのだ。参加した住民の1人が言う。

「水道料金は現在、月2000〜1万円ですが、月7000円もの追加負担を求められた。会社側の(電気料金の)滞納分を払えというのはちょっと納得できないし、何より、水はライフラインですよ」

 水を“人質”にしてカネをせびる――。会社側のやっていることは、脅迫じゃないか。イーテックジャパン担当者がこう言う。

「我々は水を止めることを目的にしているわけではありませんし、恫喝や恐喝という意思もありません。地域を守るため、住民の方々と話し合いを重ねているだけです。ただ、料金をお支払いいただけない場合、規約に基づいて、水道の供給停止などの措置を取らせていただく可能性はあります」

 雫石町は水が止められた場合に備え、「最寄りの公民館を給水所として開放するよう検討中」(上下水道課長)という。しかし、給水所は民家から14キロも離れているため、水をくみに行く住民の負担は重い。

 先の臨時国会で、民間の水道事業参入を促す改正水道法が成立したばかり。今後、雫石町の“二の舞い”になる地域が続出するのではないか。

日刊ゲンダイ
2018/12/16
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/243861