開幕まで1年8カ月を切った2020年の東京五輪・パラリンピック。開催費用などをめぐって批判は多く、後世の財産になるとうたう「レガシー」という言葉も、どこか空虚に聞こえる。一瞬の「花火」で終わらないか。国際体操連盟の会長で、今年、国際オリンピック委員会(IOC)の委員に就いた渡辺守成さんに聞いた。

 ――今年10月にIOC委員となり、11月から東京の大会組織委員会理事にもなりました。これまでの準備状況をどうみていますか。

 「建設費が乱高下した新国立競技場の問題や白紙撤回されたエンブレム問題、東京都との経費分担をめぐる問題とトラブルが続き、率直に言って、スタートのつまずきがいまだに尾を引いていると受けとめています。組織委が守りに回り、殻に閉じこもって萎縮しているように感じる。経費や準備状況などの情報を極力出さないようにしてきたが、もう時間がない。情報をオープンにして、メディアも巻き込んで盛り上げていくことを考えるべきです」

 ――IOC幹部からは「東京は最悪の五輪になりかねない」という心配すら出ていたそうですね。

 「今年前半までは、各競技の国際連盟(IF)のトップに危機感がありました。たとえば、競技会場への要望を出しても聞いてくれないのだと。現在の体操会場は馬蹄(ばてい)形にして大きなスクリーンを置き、娯楽性を高めた演出をする仕様ですが、東京の組織委はそんな情報も持っていなかった。ただ、直近は改善されてきています」

 ――以前「IOCは東京は見ていない。24年のパリ、28年のロサンゼルスがどんな五輪を開くかを見ている」と話されていました。

 「IOCは、一貫して東京は成…

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朝日新聞
2018年12月12日21時6分
https://www.asahi.com/articles/ASLCD4VLKLCDUPQJ008.html