■ロシア副首相 北方領土問題めぐり強い姿勢強調

北方領土問題をめぐり、日本とロシアは、日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速させると合意しましたが、ロシアの副首相は「両国の首脳は、島の引き渡しに関わる問題はこれまでいっさい議論していない」と述べ、強い姿勢で交渉に臨むと内外に強調しました。

北方領土問題をめぐり、安倍総理大臣とロシアのプーチン大統領は、平和条約を締結したあと歯舞群島と色丹島を引き渡すとした1956年の日ソ共同宣言を基礎に、平和条約交渉を加速させることで合意しています。

こうした中、ロシア政府で極東地域を統括するトルトネフ副首相は10日、ロシアのメディアに対し「両首脳は、島の引き渡しの問題についてこれまでいっさい議論していない。話し合われているのは、島での共同経済活動に関わる問題だ」と述べました。

トルトネフ副首相のこうした発言の背景には、先月ロシアで行われた世論調査で、北方領土を日本に引き渡すことには反対だと答えた人が74%にのぼるなど、島の引き渡しへの警戒感が高まっていることがあるものとみられます。

副首相としては、島の引き渡しについては、まだ首脳間で議論されていないと主張し、強い姿勢で日本との交渉に臨むと強調することで、ロシアの世論を鎮めるとともに、日本に対しても、島にアメリカ軍が駐留しないなど、引き渡しをめぐる条件で折り合わなければ交渉は進められないと改めてけん制する狙いがあるものとみられます。

NHKニュース
2018年12月11日 3時55分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181211/k10011742421000.html