国内最大の官民ファンド、産業革新投資機構(JIC)と対立を深める経済産業省は、JICが国内投資に使う約1兆7500億円の資金使途を認可しない方針を固めた。すでに認可した分の使い道が不透明なため。高額報酬に端を発する対立は、官民ファンドの事業自体に疑問を投げかける事態に発展してきた。

 9月に旧産業革新機構から改組して発足したJICの基本的な投資能力は約2兆円。政府保証を付けて民間金融機関から借りる資金(1・8兆円)が大部分を占める。田中正明社長は9月の設立会見で、海外のバイオ・創薬企業に投資する第1号の認可ファンド(子ファンド)に加え、年度内に国内のベンチャー企業などに投資する三つの子ファンドをつくる方針を示していた。

 JICは、三つの子ファンドで計約1兆7500億円の資金使途を今月19日までに認可してほしいとの意向を水面下で経産省に伝えていたという。経産省は、JICが資金使途の認可を申請しても、「田中氏との信頼関係が崩れており、2兆円規模の資金を任せるのは困難」(担当者)だとして認可しない方針だ。

朝日新聞
2018年12月7日6時57分
https://www.asahi.com/articles/ASLD65FXRLD6ULFA026.html