顧客約6800人、負債総額約2400億円――。マルチ商法まがいの手口で、磁石を埋め込んだ健康グッズの預託商法を全国展開していた「ジャパンライフ」(東京)による消費者被害をめぐる捜査が本格化の様相だ。

 1975年に設立されたジャパンライフは昨年12月に経営破綻し、今年3月に東京地裁が破産手続きの開始を決定。その間、消費者庁から4度の行政処分を受けながら、しぶとく生き延びていた。その背景には安倍政権との“関係”がチラつくのだ。

「ジャパンライフの商売は磁気ネックレスなどを数百万円で顧客に売りつける一方、同社がそれを第三者に貸し出すことで顧客に年6%のレンタル料を支払う仕組み。動きがあったのは5日でした。警視庁がジャパンライフの破産管財人に関係資料の提出を求めたのです。昨年12月に愛知県内の被害対策弁護団が同社と山口隆祥会長、長女のひろみ前社長に対する告発状を県警に提出した。詐欺や預託法違反などの疑いです。本社を管轄する警視庁や被害者の多い愛知県警を中心に、特定商取引法違反(不実の告知)容疑などでの立件を視野にしているとみられています」(捜査事情通)

■何人もの大臣が広告塔に

 ジャパンライフは政治との近さを売りに、商売を続けていた。2014年9月に消費者庁から文書で行政指導を受けた3カ月後、安倍首相側近の下村博文文科相(当時)が代表を務める政党支部に10万円を献金。15年3月には首相主催の「桜を見る会」に招待されたと宣伝チラシで大々的にアピール。〈安倍晋三内閣総理大臣から山口(隆祥)会長に「桜を見る会」のご招待状が届きました〉という文言と招待状の写真が掲載されていた。

 16年12月に一部業務停止を命じる1度目の行政処分を受けると、さらに加速。チラシで昨年1月13日の出来事として〈安倍内閣の重要閣僚の加藤大臣と山口会長が会食し、ジャパンライフの取り組みを非常に高く評価していただきました!〉と紹介された加藤勝信厚労相(当時)の、〈ジャパンライフのビジネスモデルは、1億総活躍社会を先取りしています!〉というコメントが掲載された。その2週間後の1月27日に〈自民党・二階俊博幹事長を囲む懇親会を山口会長主催で開催しました!〉と喧伝するチラシもあった。

 一方、ジャパンライフ問題を追及する共産党の大門実紀史参院議員が入手した「お中元リスト」には安倍首相をはじめ、麻生財務相や菅官房長官、茂木経済再生相らオトモダチもズラリと名を連ねていた。

「消費者庁は17年3月に2度目の行政処分を命じ、さらに追加措置も検討していましたが、官邸から横ヤリが入ったといいます。当時は森友学園問題が火を噴き、国会対応に追われていた時期だった」(永田町関係者)

 臨時国会の火種がまたひとつ増えたか。

日刊ゲンダイ
2018/11/10 14:50
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