衆議院の予算委員会では、“国税庁への口利き”疑惑で片山さつき地方創生相が連日、火だるまに。本誌がスクープした宮腰光寛・沖縄北方担当相の献金疑惑も追及される中、さらに根本匠厚労相、山本順三国家公安委員長の新たな疑惑をつかんだ。

安倍晋三首相だけでなく、山本順三・国家公安委員長にも加計疑惑が取り沙汰されている。

 山本議員は愛媛県選出で加計学園の岡山理科大獣医学部が新設された今治はおひざ元だ。

 自民党県議によると、獣医学部新設は加計学園幹部と今治市選出の県議が幼なじみで親しい間柄だったことが出発点だったという。

「この県議と山本さんも非常に親しい。その上、安倍首相と加計孝太郎理事長が親友だったので、山本さんは計画当初から加計学園の誘致を熱心に進めていた。16年夏の参院選で山本さんの選挙事務所に詰めていたところ、加計学園から人が出ていると。このころはすでに獣医学部誘致が動いていた時期で、加計学園の2〜4人が選挙事務所で手伝い、山本氏の演説の動員もやっていたようです」(前出の県議)

 そのかいあってか、参院選で山本氏は野党共闘の候補だった元衆院議員の永江孝子氏を約8400票差で破り、薄氷の勝利を収めた。

 また山本氏の資金管理団体の政治資金収支報告書によると12〜14年の間に、ビール券(1枚で缶2本494円)を約70万円分(本数にして年間900本)購入。また12〜16年でタオルを55万円分購入。さらには13年に真珠2万円を政治活動費で計上していた。

「ビール券とタオルは選挙区外で配ったと言うのでしょうけど、それにしては随分と多いですね。真珠代まで政治活動費で落とすとは……。かなりセコイ」(野党議員)

 山本事務所は本誌の取材に対し、こう回答している。

「(ビール券やタオルは)選挙区外の者へ配布しています。(加計学園が参院選の手伝いをしたか、否かについて)たくさんのボランティアの方にお手伝いいただき支えていただいております。多くの方が事務所に出入りしているので、ご質問の関係者が具体的に出入りしていたか否かについては確認できていません」

 そして根本匠厚生労働相にも複数の疑惑が出てきた。

 自民党福島県第二選挙区支部の収支報告書によると、14年から16年にかけて、秘書3人(公設第一、第二、私設)に対し、毎月5万円で車両を借り上げ、この代金を事務所費として計上していた。いわば「車手当」を公金で秘書に払っているのだ。ほかにも、同報告書によると、13年、直近の選挙で初当選した新野洋・二本松市長個人に対し、200万円を支出、また資金管理団体「匠フォーラム」の報告書によると、13年から16年にかけて、NHK受信料約10万円を組織活動費として計上していた。

 果たして、こうした支出に問題はないのか。政治資金規正法に詳しい、神戸学院大の上脇博之教授の解説。

「秘書3人に本当に車が必要なのか。実態があるものなのか疑わしい部分ではあります。しかも地元の団体で計上している。公設は、ほとんど東京にいる秘書です。どこで車を使い、ガソリン代、駐車場代はどうしているのか、不明な点が多い。一般論として秘書の間だと、裏金が作りやすい。またNHK受信料は事務所費で計上するべきで、組織活動費として計上しているとすれば、一般の家でも、組織活動になってしまう」

 新野市長個人に200万円を寄付していることについてはこう解説する。

「これは違法ではなく、政治資金規正法の抜け穴と言えます」

 根本事務所に質問所を送ったが、期限までに回答はなく、「収支報告書の記載通りで問題ない」と秘書が口頭で答えるのみだった。
また桜田義孝 五輪担当相が代表を務める資金管理団体の収支報告書には2012、14年、あわせて163万円を政見放送テレビ代として支出していると記載があった。

 助成金を選挙活動で使っていることを質問すると、桜田事務所からこう回答があった。

「政党助成金は本来、法律上使途に制限はありませんが、政見放送は候補者届出政党が行う活動であり、選挙制度改革により選挙や政治活動が政党中心に行われるため導入された政党助成金から支出することは、制度の趣旨に照らしても何ら問題ないと考えております」

 本誌がスクープした宮腰光寛・沖縄北方担当相が過去に談合事件などを起こした複数企業から政治献金を受けていた問題。宮腰氏は「法令に従い適切に処理し、その収支を報告しているところです。

2につづく

※週刊朝日 2018年11月16日号より抜粋
2018/11/6 07:00
https://dot.asahi.com/wa/2018110500017.html