■「日中友好の船を前へ前へと進めていこう」 中国でのレセプションの安倍首相挨拶

 李克強首相、李小林・中国人民対外友好協会会長、ご列席の皆さま、日中平和友好条約の締結40周年という記念すべき年を、中国の皆さまとともに、心からお祝いしたいと思います。

 【40年前の原点】

 今からちょうど40年前、中国の国家指導者として戦後初めて日本を訪問された●(=登におおざと)小平副総理と、福田赳夫首相との間で、日中平和友好条約が締結されました。私の父、安倍晋太郎も、当時、官房長官として、この交渉を支えました。この条約には、日中関係の礎となる、重要な原則が定められています。

「恒久的な平和友好関係を発展させる」「すべての紛争を平和的手段により解決する」「覇権を求めない」

 以来、これらの諸原則は、日中関係を導く羅針盤となってきました。

 私は、李首相とともに手を携え、この大きな羅針盤を頼りに、日中友好の船をできるだけ遠くへ進めていきたいと思います。

 本日、私は、李首相のご招待により、日本の首相として7年ぶりとなる中国への公式訪問を開始します。

 今回の訪問が、40年前の条約に込められた先人たちの日中両国の平和と繁栄、友好への誓いに改めて思いを致し、今後の新たな日中関係を切り開く契機となることを期待しています。

本日は、日中双方から、条約の締結に携わられた当時の関係者、そしてその後の日中関係の発展にさまざまな立場からご尽力された数多くの方々にお越しいただいています。

 この機会に、皆さまの多大なご功績に対し、改めて深い敬意を表します。

 【改革開放と対中ODA】

 40年前、批准書の交換を終えた●(=登におおざと)小平副総理は、日本で新幹線に試乗し、当時最先端のカラーテレビ工場、製鉄所、自動車工場を視察されました。新幹線の中で感想を聞かれた●(=登におおざと)小平副総理は、「これこそわれわれが求めている速さだ」「今回の訪日で近代化とは何かがわかった」と述べられました。
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 そして中国に帰国されてからわずか2カ月後、かの有名な中国共産党第11期三中全会が開かれます。「改革開放」の始まりです。

 つい先ほど、私は李首相とともに、この40年の日中両国の歩みを回顧する写真をみました。日中友好病院や宝山製鉄所の第1高炉など、日中協力の下で中国の近代化を支える重要な施設が次々と建設されていく様子がうかがえました。

 ●(=登におおざと)小平氏の唱えた「改革開放」の下で、世界を驚かす大きな発展を遂げた中国。写真から、その熱気を感じることができました。
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 この過程で、日本はODA(政府開発援助)や民間の投資を通じ、中国とともに歩み続けてきました。このことをうれしく思います。

 今や、中国は、世界第2位の経済大国へと発展し、日本の対中ODAは、その歴史的使命を終えました。

 今日、日本と中国は、アジアのみならず世界全体の経済発展に欠くことのできない役割を果たしています。

 世界がかつてないほどつながり合い、1国だけで解決のできない問題が増える中、日中両国が世界の平和と繁栄のためにともに貢献する、そうした時代が来ていると思います。
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 明日の李克強首相、そして習近平国家主席との会談では、こうした新たな時代にふさわしい、新たな次元の日中協力のあり方について、大所高所から胸襟を開いて議論したいと思います。

続きはWebで

産経新聞
2018.10.25 19:15
https://www.sankei.com/politics/news/181025/plt1810250023-n1.html