候補者も、有権者も、選挙管理当局者も命懸け。
それでもアフガニスタンの人々は一票に民主主義への願いを託した。3年延期されてきた下院選が20日あった

▼反政府武装勢力タリバンが選挙への攻撃を宣言。
自爆テロなどで投票日までに候補者10人、当日の投票所でも市民ら数十人が犠牲になった。
警察の責任者が殺害され、投票ができなかった州もある

▼ここ沖縄で、同じように空白地帯ができるかもしれない。
石垣市議会が、辺野古新基地建設の賛否を問う県民投票に反対する意見書を可決した。
投票費用が予算化されなければ石垣市民は投票できなくなる

▼国防の問題は一自治体の住民投票になじまない、と意見書は指摘する。
新基地は住民の命や人権を脅かし、自治体内に権限が及ばない聖域を増やすから、まさに自治の問題だと私は考える

▼このように意見はいろいろある。
県民投票はそれを戦わせて結論を得る舞台になる。
1996年の県民投票で自民党県連は棄権を呼び掛けたが、舞台まで壊しはしなかった。
舞台に上がる機会を市民全員から奪うのは民主主義に対する暴力ではないか

▼石垣市議会のほか、投票事務への態度を保留している市が複数ある。
市民全体に奉仕すべき政治家に、市民の意見を封殺する権利があるか。自分の足を撃つようなことはしないでほしい。(阿部岳)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/333020

阿部 岳(あべ たかし)
沖縄タイムス社北部報道部長
1974年東京都生まれ。
上智大学外国語学部卒。97年沖縄タイムス社入社、政経部県政担当、社会部基地担当、フリーキャップなどを経て現職。
著書 国家の暴力 現場記者が見た「高江165日」の真実(朝日新聞出版)。
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/70787


参考
沖タイ阿部岳記者「辺野古住民投票に反対する石垣市の意見書は民主主義に対する暴力だ」
https://hayabusa9.5ch.net/test/read.cgi/news/1540180126/