政府が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事再開に向けた手続きに入った。移設に反対する玉城デニー氏の当選からわずか半月。安倍晋三首相と新知事との会談は1回だけで、強硬措置に踏み切った。沖縄の怒りはおさまらない。

 岩屋毅防衛相は17日、工事再開に向けて沖縄県による辺野古沿岸部の埋め立て承認撤回への効力停止という対抗措置をとった上で、記者団に強調した。

 「沖縄の皆さんのお気持ちもしっかりと受け止めなきゃいけないと思っているが、最終的な目的は普天間(飛行場)の危険性の除去と全面返還。そこに向かって進みたい」

 安倍首相は12日、玉城氏を首相官邸に迎えて初会談したばかり。「沖縄の声に真摯(しんし)に耳を傾けてほしい」と訴える玉城氏に対し、辺野古への移設方針を重ねて説明するだけで、話し合いは平行線だった。首相官邸に今後の対話を模索する考えはなく、官邸幹部は玉城氏との再会談も「当面は必要はない」と言い切る。

 埋め立て承認の撤回は、急逝した翁長雄志(おながたけし)・前知事の強い遺志により、県が踏み切った判断。その翁長氏の「移設反対」という路線を継承した玉城氏が、政権が全面支援した候補を破って当選した中での強硬措置に踏み切ることへの後ろめたさは、政権からは見えてこない。

 その象徴が行政不服審査法に基…

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朝日新聞
2018年10月17日23時43分
https://www.asahi.com/articles/ASLBK4K6VLBKUTFK00G.html