先週水曜日(12日)発売のこの欄で、沖縄県知事選の候補のひとりである佐喜真淳前宜野湾市長が右翼組織「日本会議」と関わりが深く、そのことは2014年に宜野湾市民会館で日本会議沖縄県本部系の団体が開催した「沖縄県祖国復帰記念大会」で彼が主催者側として「閉会あいさつ」をしたのを見ても分かると述べ、さらに「この様子を記録した動画は今も、日本会議のホームページで閲覧できる。つまり同会議として自慢の画像なのである」と指摘した。

 すると驚いたことに、日本会議のホームページの「国民運動」コーナーに確かに存在した「動画・沖縄県祖国復帰42周年大会(5月10日)」という14年6月30日付の記事は、翌木曜日のうちに跡形もなくサイトから削除されてしまった。この一事をもってしても、佐喜真も日本会議も、この忌まわしい過去に触れられるのを嫌がっていることが分かる。

実際、佐喜真は8月24日に那覇市で行われた事務所開きで記者から日本会議との関わりを問われて、「私はメンバーでもないし、現在でもメンバーではない」と答えている。しかしこれは明白な嘘で、宜野湾市長になりたての12年6月の同市議会で「市長は2月の選挙戦当時、ご自身で日本会議あるいは親学推進議員連盟会長と名刺に載っていたが、この市長が加盟されている日本会議はどのような団体なのか、そして市長としてもこれからも活動を続けていくのか」と質問されて、こう答えている。「私も日本会議に加盟しているひとりではございますけれども、これからの行動につきましては日本会議が持つさまざまな政策あるいは施策等々について吟味しながら、私が同意できるものに対してはやっていきたいと思っております」(議事録356ページ)。

 親学推進議員連盟とは、日本会議のコアな創始者のひとりである高橋史朗の主張に沿って、安倍晋三会長、下村博文事務局長で12年に創設された運動体で、全国に先駆けて11年に沖縄県で最初の地方組織ができ、その初代会長を佐喜真が務めたのである。

 過去にあったことを「なかった」と嘘をついて逃げようとしたり、その証拠となる文書をひそかに廃棄して知らんぷりをするのは、安倍が得意とする政治手法そのものである。「親学」とはどうやら、親が子に上手な嘘のつき方を教える運動のようである。

日刊ゲンダイ
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