>>478
つまり、2008年12月に都が「跡地は買い上げない」と方向転換したとの説明である。

ところが、さらに調べると、新たな疑問に突き当たるのだ。

◾ 松原区長就任後、突然に積立基金が大増額

空港跡地は第1から第3ゾーンに分けられるが、大田区が跡地利用できるのは第1ゾーンの16.5haに限られている。
そして、鹿島グループが使う土地はそのうちの第一期事業を行う5.9ha。
大田区は3.2haの国有地を88億円、2.7haのURの土地を77億円、合計165億円で購入する。
ところが、この165億円という数字の計算根拠が示されていない。

前述のように、区は跡地利用に「区民のための」多目的広場や科学館などの建設計画を立て、その整備費用として1991年以降、
年2億円ペースで「羽田空港対策積立基金」を積み立てていた。

ところが、松原区長が就任した2007年度に突然60億円が、2008年度には80億円が積み立てられ、その額は今年3月末時点で約172億円にも達した。
そして165億円が支払われる。これは偶然なのだろうか。なぜ突然基金が増えたのか?

筆者がこのことを大田区空港まちづくり課に尋ねると、回答は「跡地の取得整備のためです」という。
まさしく、跡地買い上げのための積立基金の大増額だったということだ。

となると、前述の、都が「跡地を買い上げない」と決めた2008年12月よりも前に、
区は跡地を買い上げることを決めていたことになる。

この点を大田区空港まちづくり本部に確認すると、2008年3月に区は「羽田空港跡地利用計画」を作成していて、
すでに跡地取得に備えていたことを認めた。

ということは、取得に何億円かかるかの見込みがあったということだ。その計算根拠は?
これを尋ねると「資料を探さないと……」とその場での回答はもらえなかった。