自民党総裁選は現職の安倍晋三首相と石破茂元幹事長との一騎討ちとなる。首相を決める大事な一戦に挑む石破氏に、政治家としての信条、酒、家族、オンナまでぶっちゃけインタビューを敢行した。

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──逆風の中、石破包囲網となっても、自民党総裁選に出たのは?

「自分の保身のためだったら、出ないほうが楽でしょう。こんなに無茶苦茶、言われないし、肉体的、精神的にしんどいこともないでしょう。 だけど、誰も何にも言わないのは自民党のためにもならないし、日本国のためにもならない。国会議員20人の推薦を集めないと、総裁選には出馬できないわけですね。どんなに意欲があっても。私には『水月会』(石破派)のみなさんを中心として、参議院平成研究会、ほかにも、心ある人20人以上が応援して下さっているわけです。それなのに、出ないなんていう選択はあり得ないでしょう」

──石破さんが安倍首相を批判したことに対して、参院の竹下派を率いる吉田博美・参院幹事長からクレームがあったとか、なかったとかいう報道があります。

「直接、伺ったことはありません」

──吉田さんに一度も指摘されたことはない?

「ありませんが、信頼関係がありますので、どのような点についてもお互いに話をしていけば、必ず一致できると思っています」

──小泉純一郎元首相や進次郎議員が石破さんを支持するのではないかという見方もありますが。

「それは私があれこれ申し上げる立場にはありません。小泉元総理は多面性のある方ですから、一事をもって語ることはできないだろうと思っています」

──東京では議員宿舎で生活しているんですか。

「はい、娘2人と暮らしています。2人とも会社員です。彼女たちは総合職に就いていて、とても忙しそうです。帰るのは私のほうが早いときもあるくらい。家内は鳥取と東京を行ったり来たりという生活です。ですから食事は外食がおもですね。もともと家事全般が好きなので、以前、暇だった時は自炊。掃除、洗濯もやっていました」

──地元の鳥取をルポすると、「石破さんが嫌いでも、佳子夫人が好きだから投票する」という声をよく聞きました。

「ありがたいことです、逆は困るよね。『奥さんが好きだから』という人が多いんですよ。家内は誰に対しても、分け隔てがないからね。私は政治家の奥さんよとか、大臣の奥さんよとか、幹事長の奥さんよとかという思いを持ったことが一度もない人なんだ」

──政治家の妻をめざしているわけでは必ずしもない、と。

「(笑顔で)ぜんぜん」

──佳子夫人とは慶応大学の同級生だそうですが、石破さんにとってはどんな存在?

「彼女がいなければ今の私はいない。彼女はものすごく自分に厳しい人ですから、それを見習ってます。総裁選に出るべきだとか、『やめてください。私たち迷惑なんだから』みたいなことは、一言も言わない。そりゃ大変だと思いますが、彼女は妥協とか保身とかが大嫌いなので」

──電話ではいつもご連絡を取り合っているそうですが。

「できるだけね。疎遠になったり、連絡がつかないと、お互いに不安になったりもしますんでね。気をつけなきゃいけないですね」

──防衛相時代、石破さんと女性秘書との関係が噂されました。恐縮ですが、奥様に直撃しました

「それはためにする話です。そんなことあり得ないことは周囲の人たちが一番知っている。それは女性差別にもなりかねないんじゃないですか?そんな関係だったら20数年、彼女は石破事務所にいないし、事務所がもたない。私は秘書たちのプライバシーに関与したことは一度もない。人に迷惑だけはかけてはいかんよということでね。

 防衛大臣当時、防衛省改革を手掛けて、現状維持派の人たちから恨みをいっぱい買ったことがあります。それより以前、森内閣で防衛庁副長官を拝命した時、ある大学教授から『あなたは副長官を辞める時には、自衛隊を嫌いになっている。自衛隊のためにと、やればやるほど嫌われて、いろんな怪情報が出て、あなたは嫌な思いをするだろう』と言われたことがありました。なるほど、こういうことなのかなって思いましたね。一方で今でも、『石破さんがんばって』と言ってくれる自衛官、それも、偉い人より曹士クラスの人達がおられます。みんな味方なんて、あるわけがないし、防衛省・自衛隊に限らず、陰湿な文化はあるのだろうと思います。変えたいなと思いますけど」

──ご友人の片山善博元鳥取県知事に取材したら、『よく出た』とおっしゃってました。

つづく

週刊朝日
8/26(日) 11:56配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180826-00000003-sasahi-pol&;p=1