自民党は21日開いた総裁選挙管理委員会と総務会で、「9月7日告示、20日投開票」の総裁選日程を決定。野田聖子総務相は推薦人集めに苦戦しており、安倍晋三首相VS石破茂元幹事長の一騎打ちの公算だ。石破氏は出馬表明済みのため、あとは来週にも、とされる安倍首相の正式表明を待つのみである。

 国会議員は7〜8割が安倍支持なので焦点は「地方票」だが、20日興味深い世論調査結果が出た。ANNが18、19日に行ったもので、「総裁選への出馬に意欲を示している3人」として、安倍首相、石破氏、野田氏に絞って「自民党総裁は誰がいいか」を聞いたところ、石破氏が42%とトップで、安倍首相は34%、野田氏は10%だったのだ。自民党支持層に限ると、安倍首相58%、石破氏31%、野田氏5%の順だが、一般有権者は明確に「安倍NO」だということが分かる。

 自民党のベテラン職員はこう話す。

「やはり、ですね。世論は安倍さんより石破さんを選んだ。つまり、『このまま安倍総裁で来夏の参院選を戦ったら、自民党は勝てない』ということを意味します。こうした空気に地方組織は敏感ですよ。国会議員は安倍支持で雪崩を打っているが、本当にそんな安倍圧勝ムードで、この先、自民党は大丈夫なのか? ということです」

■「地方はそんなに甘くない」

 安倍首相は20日も地方票集めに躍起。山梨県の別荘で夏休み中なのに、夕方に一時帰京して、党本部で地方組織向けのビデオメッセージを収録した後、都内のホテルで「日本会議」に関係する地方議員らが開いた会議にわざわざ出席した。

 安倍首相は地方票でも7〜8割の獲得を目指し、「石破氏の地方票は2割以下に抑えろ」と陣営にハッパをかけているというが、前出のベテラン職員は、「地方はそんなに甘くないでしょう。石破さんが地方票を4割取ったら、事実上、勝利ですよ」と総裁選後を展望していた。

政治評論家の野上忠興氏もこうみる。

「参院選を考えれば、地方組織は安倍首相に少しお灸をすえておきたいと考えるでしょう。国会議員票でも地方票でも圧勝すれば、安倍首相はこれまで通りのやりたい放題を加速させるばかりで、世論の反発を招き、参院選で苦戦することになりますからね。安倍首相があれだけ地方議員と頻繁に会って締め付けている中で、石破さんが地方票を3割取るだけでも善戦ですし、4割取ったら大変。安倍首相はパニックに陥るでしょう。たとえ総裁選に勝利しても政権基盤の脆弱化は避けられず、レームダック化する」

 来月20日、安倍首相のマッ青な顔が見られるかもしれない。

日刊ゲンダイ
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