「細野」「野田」「文科省」で浮上したフィクサーの正体(1/2)

脇の甘い野田聖子総務相とその夫が「GACKTコイン」問題でぬかるみに嵌った。細野豪志元環境相は5千万円ヤミ献金問題でモナ男からマネー男に堕した。そして、文科省を解体する勢いの特捜検察捜査。これらに共通して浮上したフィクサーの正体とは。

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 正面からはとても入る実力がないなら裏口入学をと考えるのは親バカで、その原資を税金に頼るのは前代未聞のバカ官僚。他方、ド田舎のバカボンでも周りに優秀な官僚や政治家たちをはべらせ、彼らが偉くなることで、自然とフィクサーと呼ばれる日が来ることもある。

 特捜検察渾身!?の文科省解体捜査が図らずもあるフィクサーの人生に光を当てた恰好で、それが本稿のテーマである。ともあれ、まずは捜査の流れから触れて行くことにしよう。

 東京地検特捜部は7月24日、科学技術・学術政策局長を務めていた佐野太被告(59)を起訴した。合格圏外の息子に下駄をはかせてもらい、東京医大へ裏口入学できた代わりに、税金を投入したという贈収賄事件である。

 と同時に、受託収賄幇助罪でコンサルティング会社元役員の谷口浩司被告(47)も起訴されているのだが、

「特捜部はこの谷口を起点に文科省の幹部に斬りこんでいます」

 と話すのは司法担当記者。

 そして26日、谷口被告から約140万円相当の飲食接待を受けたとして、収賄容疑で同省国際統括官の川端和明容疑者(57)が逮捕された。

 逮捕容疑は宇宙航空研究開発機構(JAXA)に理事として出向していた2015年8月〜17年3月、谷口容疑者のコンサル会社に便宜を図った見返りに、東京都内の飲食店などで複数回にわたり接待を受けた疑い。

 文科省の担当記者は、

「川端さんは早稲田(大学)の政経学部を卒業して当時の科技庁に入りました。その名の通り、文系から入って来るのはとても稀なケースですね。統括官のポストは『あがり』ではあるけれど、局長級。最近の目立った仕事としては、ユネスコ(国連教育科学文化機関)絡みがありました。あとは、16年11月、宇宙飛行士の古川聡さんを東京医大に呼んで講演させたのも川端さんの“お仕事”。急に決まったので、なんで?って話題になっていたんですよ」

 と話す。

■たった140万円と言うなかれ

 改めて先の司法担当記者によれば、

「川端は、銀座の高級クラブが集うビルにある『N』に谷口とよく顔を出し、奢ってもらっていたそうです」

 たった140万円。佐川宣寿前国税庁長官とか加計学園の問題とか他にやることあるんじゃないの? 政権に刃向った前川喜平前次官がいた文科省だからターゲットにしている?――そんな声に対し、ベテラン・ジャーナリストの言葉を借りれば、

「検察の仕事っていうのはね、どぶさらいなんだよ。政策に関与したり、国民世論に応えて捜査するもんじゃない。佐川の件は相当ムリしないとできない。刑事訴訟法だけを武器にこつこつと捜査するのが本来の仕事。だから、今回の文科省汚職こそ彼らの任務。たった140万円と言うなかれ」

 ということになる。ただ、

「予算と人事を握られている以上、政権の意向に反した捜査はできません。当たり前のことです。就任して着実に仕事をこなす森本(宏)特捜部長は明言しないものの、もちろんバッジを挙げたいと思っているようですけれどね」(先の司法担当記者)

 そうは言っても、狙い撃ちの続く文科省。なにしろ、10人いる局長クラスのうち既に2人が逮捕・起訴され、省内は上を下への騒ぎ。行政の歪みが糺される過程なのか、もっと歪みが顕在化するのか。

「谷口と知り合いのキャリアは複数おり、携帯やパソコンを当局に提出しています。飲食を共にするなかで、職務権限にかかわる案件について便宜を図ったか否かを調べられている。逮捕されないまでも省内での懲戒処分の可能性は否定できない。また、次官室はガサ入れされ、次官本人も任意で事情を聞かれている」(同)

 となると、官邸関係者が、

「10月に次官は交代予定ですが、それまで持つのかという問題がある。仮に持ったとしても、その際の人事で、局長、場合によっては次官自体にキズのついていない他省庁の人材をあてることも官邸は画策しています」

 と話すような、文科省解体論も浮上しているのだ。

つづく

週刊新潮 2018年8月9日号掲載
https://www.dailyshincho.jp/article/2018/08130801/?all=1&;page=1