心身の自由を奪う拘束が人間にとってどれほど酷で、つらいものか、当事者にしか分からないだろう。
しかも3年以上、相手は武装したテロ集団。恐怖、絶望、怒り、後悔…

◆2015年6月、内戦下のシリアに入国後、行方不明となっていたフリージャーナリスト安田純平さん(44)とみられる映像がネットで流された。
銃を手にした黒ずくめの男と、囚人服を着せられ、後ろ手に縛られた見覚えのある男性

◆ぼさぼさの髪、ぼうぼうのヒゲ。安田さんとみられる男性は力なく「今日は2018年7月25日。早く、助けてください」と訴えていた。
拘束しているのは反政府テロ組織の一味とみられるが、3年ぶりの映像は日本政府への身代金要求だろう

◆平穏な日本では想像もつかない世界の危険地帯。とても生半可な気持ちで取材や復興支援はできないが、
安田さんはイラク戦争開戦時から緊迫する現地に入り、取材活動を続けていたが以前、バクダッド郊外で拘束されたことがある

◆この時は3日後に解放され、帰国後の2004年5月、佐賀大で安田さんの話を聞いた。
「一つしかない地球上に生きている人間同士、武器を持つより、笑うことが大事」と語っていた、たくましい顔を思い出す。
人質交渉は極秘裏、外務省や官邸の動きは知らないが、一日も早い解放を願うばかりである。(賢)

佐賀新聞
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/257385